Flowerwall (ページ2)

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よくもまあ...
人生って複雑に、そして上手いことできているものだ。
私は岐路に立つたびにそう感じる。

中学、高校時代に栄光を掴んだ人間はほんの一握り。
掴めない人間の方が圧倒的に多い。
私もその一人だった。

「...それがまさかさ、こんなところに来るとは思わんよ普通」

古「Aさん！まだ監督話してる途中だから！
しっ！」

『......』

上手いこと色んな人に拾ってもらって、
未だ栄光を手にしたことのない私が、
日の丸背負うことになるなんて。

『A！今のスパイクはもっとコース狙えたはず！腕の振り躊躇わないで！』

「はい！」

大学1年の冬、私はアメリカにいた。

MFL、MLB、NBA、NHLといった四大スポーツは知っての通り、アメリカではスポーツは人々の日常に欠かせないものだ。

バレーボールはこの国で生まれた。

にも関わらず、プロリーグはないし、先の四大スポーツの方が圧倒的に人気。
それでも世界大会では常に上位の常連。
さすが自由の国、わけわかんない。

でも、

「...まだまだ、だ！
もう一本トスちょうだい！」

面白いが尽きない。

生まれ育った九州から出ることなく生きていくのだろうと思っていた。
そんな私になんと声を掛けてきたのは、
関東大学リーグ一部のチーム。

職員室に呼ばれ、向かった先にいた人は
誰もが知っている大学名が入った名刺を渡してきた。
そこの女子バレー部のコーチをしているという。

「なんで私なんですか？」

純粋に疑問だった。
春高にもインターハイにも出ていないというのに。

「県予選を見たんだ。正直に言うと、君が目当てではなかった。
...でもこの試合を見て」

コーチが携帯で見せたのは、高2の春高予選だった。

準々決勝。
相手は今まで全試合全敗の格上の高校。
サーブ権を先取し、こちらのサーブ一番手は私。

あの日はサーブが絶好調だった。

試合開始から5連続でサービスエースをとり、そのチームに初白星を挙げた。

その後は負けてしまい、結果として私の高校バレーは一冠も取れずに終わってしまった。

「君には、もっと拓けた未来があるはずだよ」

将来を見据えて地元の大学に進学しようと思っていた矢先に降りてきた大学の引き抜きの話。

もう一度バレーボールを続ける道と、
現実的に将来に向き合う道。

「拓けた未来...」

私は、どうせなら楽しそうな方、誰もが経験できないような道を開くことにした。

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