【あんスタ】朝比奈さんの幼馴染引きこもり脱出日記【月永レオ】

１５． ページ16

．



それからしばらく。セナは相変わらずレオの家に行かないけど、たまに、猫ちゃんたちを愛でに立ち寄るようになった。



熱を放つアスファルトの上を歩きながら、日傘を持つ手と反対の手でスマホを確認する。

(14時半か………。)


夏休みの前日、終業式の日だった。

いつものように、猫ちゃんたちが集まっているところに寄った。


でも。いつもよりも早い時間だったからか、いつもよりも猫ちゃんの数が少ない。

ちょうど考えたいこともあって、そのまましゃがみ込んで、今いる猫ちゃんとだけでも遊ぶことにした。


この数日で大分なついてくれた子の頭を撫でながら、教師の言葉を反芻する。



＿＿＿＿＿
＿＿＿


「夏休み明けにある文化祭で、写真部は校舎の廊下に写真を展示します。

また、文化祭の前にはコンクールに出品する写真を提出してもらいますので、夏休み期間中にそれらの写真を撮って来てください。

文化祭展示の写真にも、コンクール出品の写真にもテーマはありませんが、人物を撮るのはいけません。あくまで、自然写真を撮って来てください。」



「朝比奈さん、あなたには私だけじゃなく、この学校の先生方みんなが期待しているわ。あなたの、自由を感じさせてくれる写真を。

夏休み明け、あなたの写真を見るのを楽しみにしているわね。」


＿＿＿
＿＿＿＿＿






『……制限を設けておいて、”自由”ねぇ……？』

撫でていた猫ちゃんは、するりと逃げてしまった。


逃げた先には、いつもと同じぐらいの猫ちゃんたちが集まっていて、そちらに向かおうと立ち上がる。


『あ、れ…？』

視界がぐらりと揺れる。

意識が途切れて、日傘が道路に落ちた。





「ヒナちゃん！」

学校での朝比奈さん→←１４．

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す