一枚の。 ページ34
Aだけ先に検査の為に診察室に入る。
ここから男の情けなさが滲むターン到来。
男は何も出来ないな、お手上げ。
暫く経ってからAが戻ってきて次の順番が来るのを待つ。
多分次は俺も診察室に入ることになるだろうな。
事前に看護師さんから渡されて書いた問診表に最後にしたのはいつ頃かとか産む意思はあるか、等が問われていた。
愛し合ったのはもうコレの時だと断定出来ない。
正直なところ、勢い余ってそのまましたことも多少あったし。
産む予定はある。それは断言出来る。
「87番の方、どうぞ診察室へ」
Aに手を差し出して一緒に診察室に入ると中に居たのは若い女性の先生だった。
女性同士だとやっぱり安心するところはあると思う。
「こんにちは、Aさん。早速ですが検査の結果を……おめでとうございます、妊娠されてますよ。こちらがエコー写真です。まだ小さくてよく分からないと思いますけど元気な心音が聞こえていますよ」
俺たちに渡された一枚のエコー写真。
俺たちの愛の結晶だ、Aは泣いている。
アラサーになると泣けてきちゃうのかな、嬉しくて。
そっとハンカチを渡して頭を撫でる。
ありがとう、A。
これから頑張って産もうね、A。
────────────
続きます。
.
328人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:*ゆ う* | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月28日 12時