おにぎり宮でアルバイトするお話【宮治】

第19話 ページ20

1時間の休憩を終え、宮さんの元へ戻る。



治「おしゃ、ほんならAちゃんにおにぎり宮のおにぎりの作り方教えるで。

最初のうちは俺が作ったの商品にするけど、

だんだんうまなってきたらお店に出すからそのつもりでな！」



「はい！頑張ります！」



治「他にも色んなメニューあるんやけど、とりあえず

初日に出すのはこの7種類や。」



宮さんがばっと7つのおにぎりを並べる。



治「左から、明太子、茄子、鮭、梅、こんぶ、ツナマヨ、焼きおにぎりや。

今日は左の3つ教えたる。」



「はい！」



治「ええか？まずこの明太子はな、福岡のやねん。

しかもただの明太子やないで？
熱薫製しとんねん。この前食べた賄いもこれやで。
うまかったやろ？

燻製のやり方はまた教えたるけど今日は飛ばすで。

まずはな、片手てのひら分のご飯よそうやろ、ほんで次に…」




そう宮さんのスラスラとした説明を受けながら私も同じようにやってみる。




本当に説明通りに、同じようのやるだけなのに…




治「右手力入れすぎたらあかんよ！

少しの圧力でお米の旨み変わるんやで？

逆に左の手首に力入っとらん。

あ、指ちゃう、手首や。」




おにぎりにぎるくらい私でも出来ると思っていた。

一人暮らしだから自分のご飯くらい作るし。




でも宮さんのおにぎりはこだわりにこだわりぬいていて、少しのミスも許されない、そんな感じ。




そうしてようやく一つのおにぎりが完成した。




「真のおにぎりってこんなに難しかったんですね…。」




自分の手の中にあるおにぎりを眺める。


たしかに美味しそうだけれど、
やっぱり賄いで食べたやつの方がなんとなく美味しそうに感じた。


この違いはなんだろう？



治「最初にしてはなかなかちゃう！

Aちゃん才能あるで。」





おにぎりの才能ってなんやねん。





思わずツッコミたくなった。





やってる最中はあれだけダメ出しをした宮さんでも

完成した後はちゃんと褒めてくれる。




・




治「ほれ、次行くで！次は茄子や！茄子は夏野菜やけど、5月の茄子は高知産や！覚えとき！

まず茄子の切り方からいくで。」





そうして次のおにぎりも説明を受ける。





やっぱり完成したものは、宮さんがにぎったおにぎりと比べると何かが欠ける。






・






治「愛やな。飯に対する愛が足りんねん。」

第20話→←第18話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す