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第52話 ページ6

そうして迎えた土曜日の夕方。


特に意気込んだりとかはしてないが、秋らしいワンピースに、首にスカーフを巻き、コートを羽織って駅へ向かった。



待ち合わせ場所に着くと、もう涼くんは、携帯を触って待っており、


「ごめん、待った?」


謝りながら彼に近づく。

涼くんは私みて、一瞬目を開いた後、



涼「バイトの制服姿に髪結んでるとこしか見てへんかったけど、私服も可愛いな…」

なんてぼそっと顔を赤らめながら褒めてくれた。



「え?涼くんも似合ってるよ!」



涼「…っ!行こか!」


















目的の清水寺に着く頃にはもう日も暮れかけており、

ライトアップは始まっていた。




「えー、人多いなぁ…」


チケットを買うべく並んでいるが、見渡す限り、人、人、人って感じ。

周りはカップルばかりだった。



私たちの場が回ってきて、拝観料を払い中へ入ると、
涼くんにそっと手を握られた。


「…!」


びっくりして思わず立ち止まってしまった私に、


涼「あ、ほら、人多いし、はぐれたら困るやん!」





なんか、あの日の私みたいだ。


確かにはぐれたら困るなと思ってその手を握り返したが、
思い出したのはあの夏祭りの日のこと。





治さんの手の方がちょっと大きかったな…





人混みの中、綺麗にライトアップされた紅葉を眺め、
そんなことばかり考えていたら、

気付けばもう帰る時間になっていた。





涼「あのさ。Aさん。」



今まで黙って紅葉を見ていた私たちだったが、
突然口を開き、立ち止まった涼くん。




涼「俺、Aさんのこと、好き…なんや。

いつも一生懸命働いてるAさん見て、俺、知らん間に好きになってた。」





そして、向かい合わせに立っている私の目を見てしっかり言われたその言葉。




涼「…俺と付き合ってくれませんか?」




その彼の頬が赤く染まっているのは、紅葉を照らす光のせいなのか、それとも私のせいなのか。




正直、ライトアップに誘われた時点で、もしかしたら、なんて気付いていた。


それでもバイトは2人だけだから仲良くしていたいし、彼のことは本当に嫌いじゃなかった。

むしろ好き。


でもその好きは彼の好きとは違う。




私が好きなのは…

思い浮かんだのは治さん。





ああ、やっぱり私、治さんのこと本当に好きなんだ…。









「…ごめん。」







そう一言発し、私はするりと握っていた彼の手を離した。








「私、好きな人がいるんだ。」

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ちかな(プロフ) - とても良かったです…素晴らしいお話でした!!!よろしければ番外編も見たいのでパスワード教えていただいてもいいでしょうか?あの続きを読みたいです!! (6月6日 11時) (レス) id: 94bbb03075 (このIDを非表示/違反報告)
ごま吉(プロフ) - 凄く面白いです!ですが68話のところ名前が(がないせいで変換されてないのが気になりました……!) (2021年11月10日 11時) (レス) @page25 id: 162c50cd7b (このIDを非表示/違反報告)
ayee(プロフ) - 番外編めちゃくちゃ見たいです! パスワード教えてください。お願いします! (2021年9月4日 9時) (レス) id: 3db7910b34 (このIDを非表示/違反報告)
えるる(プロフ) - 治ぅ…幸せになってよかったです!素敵でした!番外編私も見たいのでパスワード知りたいです。。ご検討お願いします (2021年8月28日 2時) (レス) id: dae120511d (このIDを非表示/違反報告)
もちーず - あの、番外編短編集のパスワードを教えて欲しいです。身勝手な願いですが、お願いします! (2021年8月8日 20時) (レス) id: abd0311f3a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たたねんこ | 作成日時:2020年5月1日 12時

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