【原神】神の目を失っただけのはずだった

意外な共通点 ページ25

どうやらべネットのゴーグルは犬に取られてしまったようだった。犬はゴーグルをくわえたまま走っている。

「ワンちゃん、こっちおいで!」

　試しに私は軽くしゃがんで、犬を受け止められるように腕を広げて呼んでみると、犬はすぐに来た。

　そして私に飛び付く寸前にべネットのゴーグルを口からポトリと落とし、飛び付くなり私の顔をペロペロと舐めてくる。

「ストップ」

　とりあえずべネットのゴーグルを取ったことを軽く叱らないと。犬は私の指示に素直に従い、私から降りてお座りをする。

　私はべネットのゴーグルを拾ってウェンティから貰った力で、この力がバレない程度にゴーグルを綺麗にする。

「こんなことしちゃダメだからね」

　そう犬に言うと、くぅ〜んと悲しそうに鳴くので軽く頭を撫でてやると嬉しそうに走ってこの場を離れていった。

「はい、べネット。お疲れ様、逆にここを通ってくれて有難いぐらい」

　私がゴーグルを渡すとべネットは嬉しそうに受け取り、いつものように頭に着けた。

「ありがとな、A」

　私はべネットに軽く話を振る。

「最近はどう?何か治療してほしい怪我とかあったら全然治すけど」

　とりあえずザッと見た限りは特に変わった所はないから少なくとも大きな怪我はしていないみたいだった。

「怪我はしてないけど、ハラハラするようなことがあったんだ。うっかり高いところから落ちちゃったんだけど、地面すれすれまで風の翼が動いてくれなかったんだ」

　べネットらしいエピソードだ。でも、

「奇遇だね。私も最近高いところから落ちちゃったんだよね。しかも、風の翼が最後まで無理でジンに助けてもらっちゃったけどね」

　するとべネットは驚いたような顔つきをした。

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