【歌い手】捨てられない想い２(そらる)

七十六曲 ページ31

『…ってことで、少しの間ですけど田中先生…いや、旧姓田中先生のかわりに顧問として教えさせてもらうことになりました。

楽器は一応弾けると思うので、何かあったら…とか思ってますけど、絶対みんなの方がうまいと思うので、…まぁ何かあったら聞いてください。』



『あとコンサートが二ヶ月に迫ってるらしいので、忙しくなると思うし、顧問が変わって絶対戸惑って、私自身もあまり役に立つかわからないんですが、少しの間だけよろしくおねがいします。』




ゆるく、大切なことだけ挨拶するとパラパラと拍手が起こる



「やっぱり先生が顧問なんですね！推薦して良かったです！」



すると、生徒の方から声がして、目線を向けると歌い手さんがいて、すっごくにこりと笑っていた




そしてみんな各自で楽器を持って何処かに行ったり座ったりして、思ったよりも顧問はすることがないと思い私も一人、二ヶ月後に迫っているコンサートについて紙に目を通した





「せんせ、この前の件どうなりました？」



『ん？』



その時、隣からギターを持ってやってきた歌い手くん
そわそわしている姿を見てどうしたのか考えてみると、多分あのことで



『あ、歌のこと

うん、受けたよ』



そのことについて私は端的に答えた



「なら今回のコンサートで…は無理ですよね」




『うん、次の冬のコンサートで、披露できたらってことで』




「ならチケットとらなくちゃですね」




『とれるの…？』




「……………。」




『歌くらいいつでも聞かせてあげるから』




「やったー！」




私がそう言うとすごく目を輝かせる歌い手くんに

少しアドバイスを聞こうと、歌を提供することにだんだん嬉しくなっている私がいた

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