Urt ページ5
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『ねえねえ、うらたくん』
「ん、何?」
『..あ、あ...』
「あ?」
『...愛してる』
数秒の沈黙の後彼は笑っている。それはもうお腹を抱えて、心底愉快そうに笑っている。
普段から息をするように甘い言葉を発するうらたくんに対して、私はいつも恥ずかしがって素っ気ない態度でしか返せないのがオチだった。
いつもちゃんと伝えられないからこそ、勇気を出してみたらこれだ。不服である。
『..人が真剣に言ってるのに、何でそんなに笑うのよ』
「っふ、は..腹痛てぇ〜」
ジト、とした視線を彼に向けるも相変わらずケタケタ楽しそうに笑っている。私はちっとも楽しくないけど..?
「は〜、笑った笑った」
『...楽しそうで何より』
「そんな怒るなって、笑ったのは悪かったよ」
『私、変なことした?』
「ごめんごめん、そうじゃないよ。ただ、」
「『愛してる』の一言で顔真っ赤にして伝えてくんだもん、可愛くて思わず、な?」
その一言でまた顔が赤く染まる私と笑う彼。
いつもちゃんと伝えられてないからって頑張って伝えたんだから、もう少し真面目に聞いてくれません?なんて。
意地を張るのも馬鹿らしくて、彼につられて私も笑みを零す。
顔を林檎のように染めて伝えてくるのも愛おしいけど、やっぱりAは笑顔が一番可愛い。なんて言ったらどんな反応をするのだろう、と彼もまた笑みを深めた。
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mi(まい)(プロフ) - 林です。嘘です。さん» 切ないお話を書きなれてないのでそう言って貰えて凄く嬉しいです、ありがとうございます( ;_; )! (2020年5月26日 17時) (レス) id: 0f8661bfd1 (このIDを非表示/違反報告)
林です。嘘です。 - 3番目の切ない感じが好きです! バッドエンドとかが少し好きなので、私の好みでグッときました。 (2020年5月25日 2時) (レス) id: aa4022e14b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mi(まい) | 作者ホームページ:http://twitter.com/muikrn
作成日時:2020年5月23日 3時