33話 ページ33
「あ、そろそろ帰らなくちゃ。」
「そっか…。あんまり無理は、しないでね。」
「わかったよ。」
Aは無一郎が帰る支度を始めると、少し寂しそうな表情を零した。
しかしここで引き止めるなんてことができるはずもなく。
Aはせめてもと蝶屋敷の門口まで無一郎を見送ることにした。
「気をつけてね。
怪我したら蝶屋敷にちゃんと来てね。
お薬も塗らないと駄目だからね。」
「もう、Aは心配性だなぁ。」
大丈夫だよ、と笑う無一郎。
その笑顔を見てどこか安堵の表情をAは見せた。
「…ご飯ちゃんと食べるんだよ。」
「待って子供を送り出す母親じゃないそれ。」
「だってむいちゃん細いんだもの。」
「そんなことないよ、筋肉だってあるんだから。」
なら良いけど…とAは心配そうに眉を下げた。
「……むいちゃんって…。」
「なぁに？」
Aが意をけしたように無一郎を見つめる。
どこかこそばゆいその眼差しが、僕にとっては気恥ずかしい。
「思っただけなんだけど…女の子の中では背丈、あるよね。」
まさかそんなこと言われると思っても見なかったものだから、無一郎は拍子抜けしてしまった。
確かに十四の少女を基準として考えると“むいちゃん”はかなり高身長。
しかし“むいちゃん”は本当は男の子なのだ。
まさかそれを口にできるはずもなく、無一郎は何と返答するべきなのかを考えた。
「……確かに、そうだね。」
結果、出てきたのはこの言葉だけ。
Aはまだ何か聞きたそうな表情をしていたがそれ以上何かを発することはなく、口を噤んでいた。
「じゃあ、またね。」
「うん。」
互いに少し名残惜しそうな表情を見せながら互いに手を振り合った。
Aは無一郎の背中が見えなくなるまで彼の後ろ姿を見つめていた。
.
.
「本当は____。」
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ピクルス - 号泣 (2020年9月9日 14時) (
レス) id: 2a7c012e78 (このIDを非表示/違反報告)
ピクルス - うわぁぁぁぁぁぁぁあん！無一郎くん死なないでぇぇぁえぇぇぇぁあぇぁあええ (2020年9月9日 14時) (レス) id: 2a7c012e78 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - わたぬきくん。さん» お祝いのお言葉ありがとうございます！そのように言って頂けて嬉しい限りでございます！最後までお付き合いくださりありがとうございました！ (2020年8月30日 10時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
わたぬきくん。(プロフ) - テスト期間終わってきたら完結してた…ああもう号泣です！完結おめでとうございます！(泣) (2020年8月29日 14時) (レス) id: 9e97a6dad3 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - リムさん» お祝いのお言葉と応援のお言葉ありがとうございます！そのように言って頂けて光栄の極みでございます…！本当に感謝の限りです。最後までお付き合いくださりありがとうございました！ (2020年8月27日 0時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白霞
| 作成日時：2020年7月23日 20時
