恋人編７ ページ27
「た、大切にしてるって」
そう言った
それは確かにマホトの口から先程聞いたばかりの言葉で
だからそういう行為に至らなかったんだって
なのに私が思っている通りならそれは理屈が通らない
整理しきれない頭のまま伝えるそれに終始楽しそうに見つめてくるのは私の熱に気付いているからなのか
いつだって、私だけが余裕ない
「大切だよ」
「っ…」
「Aが、いちばん、大事」
両手で頬を包み込んで
目をきゅ、と細めて
またおでこをこつんなんて合わせて話す
優しい優しい声色で
まるで子供に言い聞かせるかのように、
その顔は、なんだか可愛いだなんて
本人に伝えれば気を損ねてしまいそうな事を思ってしまう
「けどな、」
す、と離れたその顔は一瞬で変わる
ほんの一秒前まで私を愛しむように見つめていた視線はどこにいったのか
細められている瞳は熱を含んで
「…！」
あ
なんて思った時にはもう遅い
彼は再び私に顔を近づけて
今度は顔のその横
私の肩口に顔を埋めたかと思うと
「、い…っ！」
ガリッ、そんな音がした気がした
肩に鋭い痛み
その痛みに私は驚いてマホトの腕をとっさに掴む
「やめっ…マホ…、」
震える体は固まって
限界だと思う直前に、その唇は離れた
はぁ…なんて熱い吐息を感じてゾクゾクと這い上がってくるなにか
涙の溜まった瞳をぎゅぅと閉じてその感覚を耐える
マホトは再び私と視線を絡めて
「好きだから、抱きたくなるんだよ」
「っ！」
そんな中で、それは初めて
マホトの口から"好き"だと
その言葉は頭の中で何度もリピートされる
心臓が跳ねて、うるさくて
感動、そういう感情だと思う
だけどマホトはその気持ちに浸らせてはくれない
ピリリと痛みの走るそこを撫でながら
「もう限界」
「っ、まほ、と」
「大事にしたいし、泣かせたい」
わかんねぇかなって、少し苦笑いを零す
きっとそれはマホトの悪魔の部分
なんて、そんな風に思うのに私の心が感じているのは歓喜
救えないのは今にはじまった事ではないから
私達はとてもとても相性がいいのかもしれない
交わる視線は熱がこもる、それは私も一緒なんだろう
マホトはゆっくりとその顔を近づけて
また焦らすように唇を重ねた
それは甘くて、甘すぎて
たまらない
自分が彼の特別になれただなんてそんな事を実感していって
じんわりと心に甘さが広がっていく
その気持ちよさは思考を止めて
もう、言葉は必要なかった
-------------------
裏に続かなかったですね…
でも裏は別の短編を今からアップします！
終わり
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於音 - 本当にいい小説でドキドキ凄かったです！！感情が顔に出てしまいました笑笑これからも頑張ってください！ (2020年4月27日 23時) (
レス) id: 34eb78efc2 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - とてもいい小説で、泣いたのは、これが初めてでした！いい作品ですね！♪( ´ ; _ ; ` )これからも頑張って下さい (2018年10月1日 19時) (レス) id: d07448dafe (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - sakura829twinsさん» ありがとうございます！書くのもとても楽しかったですが、そういうコメントを頂けると本当に励みになります(^^)次はおそらく「恋人ごっこ」という作品がもうすぐ最終回ですので、もしよろしければそちらもお願い致します(笑) (2017年7月12日 17時) (レス) id: 9c4e44a43b (このIDを非表示/違反報告)
sakura829twins(プロフ) - 占ツクの小説を読んで泣いたの初めてです(泣)ほんとにいい話でした！読めてよかったです！！ (2017年7月10日 19時) (レス) id: d081082d44 (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - みにーさん» 作者の作品一覧からご覧下さい(^^)それでも表示されない場合はネットから夢ツクールへ行って頂き、設定ページにてR18の表示設定をして頂ければ出てくるかと思われます。 (2017年4月24日 23時) (レス) id: 9c4e44a43b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももた | 作成日時：2017年4月2日 3時
