7人の虎にはご注意を。#3【Travis Japan】 (ページ22)

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「海斗…」

ひんやりとした冷たい手が私の手に覆い被さる。

彼は私に合わせてしゃがみ、優しく微笑んだ。

宮近「大丈夫だから」

「！」

その一言で、救われる。

少しだけ、自信が持てる。

「……かいと」

宮近「ん？」

「……なんでもない！いつもありがとう」

私は彼の手を退け、勢いよく立ち上がった。

「ちょっとさっきは調子悪かっただけ！だからもう大丈夫！」

宮近「そ、そう？なら良かった」

「今休憩入った感じだよね！休憩終わったらまた参加させてもらえるか頼んでみる」

宮近「あ、」

返事も聞かずに話し続け、ちゃかをスルーする。

私はスタッフさんの方へと向かった。

知念「Aちゃん」

七五三掛「A」

途中、話しかけてきたのは知念くんと兄だ。

知念「Aちゃんさっきは大丈夫だった？でも気にすることないよ、誰にでもあるから」

「知念くん、ありがとうございます…では、失礼します」

会釈をし、その場を立ち去ろうとするとお兄ちゃんに腕を掴まれる。

七五三掛「A、待ってよ。俺なんかした？この前から冷たくない？」

「(俺なんかした？って…覚えてないの！？)」

彼にキスされた翌日から私は兄を無視し続けていた。

しかし、彼は覚えていないという。

お酒はとんでもなく怖い。

あんなことをしておきながら。

知念「え、喧嘩したの？」

「いえ、全然！仲良しです！」

呆れを通り越してもうどうでもよくなる。

お兄ちゃんが何も覚えていないのなら、あの日は何もなかった。

私が墓場まで持って行こう。

「じゃあ、失礼します」

知念「うん、あとでね～」

もう一度会釈をし、今度こそ通りすぎる。

中村「あ、A」

今度は汗を拭いていた中村海人と目が合ってしまった。

中村「調子はどう？」

「良きだよ」

中村「嘘。おばさん達になんか言われた？」

「言われてない」

そう答えるとうみは私の頭をコツンと叩く。

中村「だから、俺はAの嘘が分かっちゃうんだって」

そんな能力を持っていたとは。

中村「そんなに俺頼りない？Aの力になりたいだけなのに」

「うみ…」

彼の名前を呼ぶと、うみは一瞬悲しそうな顔をした。

中村「やっぱり俺だけ"かいと"って呼ばないんだね」

傷ついた顔をする彼に私は戸惑っていた。