7人の虎にはご注意を。#2【Travis Japan 】 (ページ46)

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Another Story～PET TIGER①～ページ46

中村side

いつだったか。

俺がAを好きになったのは。

いつだったか。

俺がAに執着するようになったのは。

ジャニー「彼女はA。You達、仲良くしてあげてね」

遠い昔のある日。

ジャニーさんはまだ幼いAを収録現場に連れてきた。

サラサラで黒い髪。

横に大きい目にぷっくりとした涙袋。

可愛らしい顔の子だ。

けれど別に仲良くなるつもりはない。

年下の女の子と何の話題で盛り上がればいいか分からない。

周りがAと仲良くなっていく中、俺は特に何も行動は起こさなかった。

_

＿数年後。

Aちゃんは変わらず収録現場に見学に来る。

彼女は時が経つに連れ、少しずつ大人びた顔つきになっていく。

「あ、中村くん」

階段を上がっているとたまたまAちゃんとばったり会ってしまった。

気まずい。

中村「お疲れ様！」

作り笑いで挨拶をする。

「お疲れ様です」

彼女は礼儀正しくお辞儀をすると階段を降りていった。

やはり距離がある。

久々の『ガムシャラ！』の収録が終わり、俺は裏口から外へと出る。

中村「あ」

外に出るとすぐに目に入ったのは、神宮寺勇太と楽しそうに話すAちゃんだ。

中村「(めっちゃ大爆笑してんじゃん)」

今思えば松倉海斗や松田元太、宮近海斗などと話す時もよく笑っている。

勝手に大人しい子だと思っていたが、ただ俺が話していないだけだった。

宮近「おーい、A！家まで送ってくよ」

俺の横を通り過ぎた宮近は、Aちゃんに駆け寄っていく。

「ほんと？ありがとう！」

中村「(なにあれ、めっちゃ嬉しそう)」

Aちゃんは宮近をだいぶ慕っているようだ。

宮近「今日の収録どれが好きだった？」

「えー、選べない！」

俺は帰って行く二人の背中をぼーっと見つめる。

神宮寺「本当はAちゃんと仲良くなりたいんでしょ？」

いつの間にか目の前には神宮寺が立っていた。

中村「別に！」

神宮寺「素直になりなって！顔に友達になりたいって書いてある！」

…正直、友達にはなりたい。

俺とだけ仲良くしてくれないのはやっぱり寂しい。

神宮寺「お前の方が年上なんだし人見知りしてないで話しかけなよ」

中村「分かってるよ」

分かってるけど、どうしても今更感が否めない。