7人の虎にはご注意を。#2【Travis Japan 】 (ページ25)

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松田side

_8月8日

サプライズでSixTONESとSnowManのデビュー発表が行われた日。

松田「……」

覚悟はしていた。

していたはずだった。

でも俺は涙が止まらなかった。

「元太…」

不意に温かいぬくもり。

Aが俺を抱きしめている。

特に何か言うわけでもなく俺が落ち着くようにただギュッと力を込めてくれた。

その手は少し、震えていた気がする。

年下なのに彼女はしっかりしている。

でも俺は知ってるんだ。

俺がいないところでAも泣いていたことを。

・

「っ…」

松田「(A…あんなところでどうしたんだ？…もしかして泣いてる？…あ、閑也)」

人の気配がない場所で彼女は一人泣いていた。

俺が寄り添う前に閑也がAのそばに行く。

吉澤「A、どうした？」

「ごめん…私が入ったからトラビスはデビューできないんだ…本当にごめん」

吉澤「それは違うから。自分を責めるな」

「私が迷惑かけてるんだよ！！入るべきじゃなかったのかもしれない…私はみんなに心の底からデビューして欲しいと思ってるのに…」

吉澤「A…」

閑也は自暴自棄になる彼女を慰めるように優しく抱きしめた。

松田「(俺…もっとしっかりしないとな)」

もう、Aの涙は見たくない。

・

松田「もう遠い昔のような出来事だなあ」

カメラロールを整理して、俺はライブのことを思い出していた。

松田「あ、このA可愛い」

自宅のソファに寝転がりながら、スマホの画面をスクロールする。

松田「これも可愛い」

画面にはメイク途中のAの不意打ちショットが表示されている。

松田「このしめとAあざといなあ」

しめとAのツーショット。

二人は雰囲気、性格、可愛らしさは似ているが実はよく見ると顔の作りは似ていない気がする。

松田「(しめはいいなぁ。Aと同棲できて)」

毎朝寝起きの彼女をみれて、テレビ観てくつろぐ姿をみれて、毎晩パジャマ姿をみれるなんて何て贅沢なことだろうか。

松田「A、今何してんのかな～」

みれないのなら声だけでも聞きたい。

俺はAとのトーク画面を開き、通話ボタンを押した。