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訝しんだ顔をしたうらたぬき様が、こちらを見る。蛇に睨まれた蛙のように縮こまる身体を奮い立たせ、説明を続けた。
A「スクリュードライバーと言います。カクテル名は、貴方に心奪われた。是非ご賞味ください。」
精一杯の礼をし、その場を後に……することは出来なかった。
なぜなら。
う「……待て。」
こちらを見つめる。
A「……なんでございましょうか?」
次の言葉で体が凍りついた。
う「……顔も知らねぇ女からの貰い物なんて要らねぇ。」
流石。
勝負師は中々に凄いことを言う。
私は、仕方なく片付ける。
A「……申し訳ありません。すぐに片付けます。」
静かにグラスを持ち上げ、片付けようとした瞬間
腕を掴まれた。
う「……お前。どこかで見たことあるな。」
喉元がひゅっと鳴った。
A「人違いでしょう。仮面を付けているものは沢山いますから。」
その腕をやんわりとほどき、グラスを持ち、そのまま帰っていく。
うらたぬきside
ゲーム中に話しかけられた。つまらないゲーム中だったからよかったが。
その女は、爽やかな黄色の酒を持ってきた。その女の説明は、知らねぇ女からの贈り物だった。
そんなもの要らない。
俺が欲しいのは、俺が唯一窮地に立たされたディーラー。
あの女を俺のモノにしたい。
その激情に身を委ねたい。しかし、この女は違う。
断わり、グラスを下げる手つきが、あの女に似ていた。
思わず問いかけた。しかし、断られた。
俺は、彼女が一人ホールの中を颯爽と歩く姿を追いかけていた。
間違いない。
あの女だ。
貴方side
バレた。かもしれない。
私は、1回だけ四天王とギャンブルをした。それで、一気に窮地に立たせた経験が有る。
それ以来、立つことは絶対しない。
私は、こんなふうにカクテルを作ったり、掃除したりしている方が性に合うのだ。
しかし、私は、この時は知らなかった。
四天王と密接な関わりするとは。
う「……待っていろ。絶対俺のモノしてやる。」
そう言って、フルハウスのカードを叩きつけ、そのまま帰っていくうらたぬき様のことを知らずに。
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味付けのり(プロフ) - りこさん» きゃー!!コメント気づいてなかったです!ごめんなさい……。更新頑張ります!!! (2020年2月4日 15時) (レス) id: e8088cc444 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - あけましておめでとうございます!更新がんばってください! (2020年1月1日 11時) (レス) id: a25fb80203 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:味付けのり | 作成日時:2019年7月24日 22時