「Hi ナマステ Hello、ようこそラトナラジュ東京へ！」(前編)

17、札束　side-F ページ19

　
　
　
「Hi ナマステ Hello、ようこそラトナラジュ東京へ！」



F「どぉ〜も〜……」



「お客様、御予約は？」



F「してない。

予約必要だった？

こゆトコ初めてだから、ぜんっぜんわかんない。」



「御予約無しでも大丈夫ですよ。

男性様のお一人様で？」



F「そうだよ。

悪い？」



「いえいえ、当店は観光目的のツアー客の方や、男性様のお一人様の初回御来店も大歓迎です。」



ならゴチャゴチャ言うなよ。



「恐れ入りますが、初回御来店のお客様には、顔写真入りの身分証明……運転免許証など御提示頂いてます。」



F「え、マジ？」



身バレした上で遊べって事？



F「ちゃんと金は払うって。

ホレっ」



金は腐るほどある。



マハラジャだからさ。



……じゃなくて、アイドルだからさ。



地下アイドルとか御当地アイドルでもない、メジャーデビューしてレギュラー番組複数持ってるアイドルよ？



「年齢確認のためです。

未成年者はお断りしてぃます。

御安心してお楽しみ頂ける店はどこでも、皆様に御提示頂いてますよ？

それに初回のお客様はお値打ちの初回料金ですから……」



札束をチラリと見せたけど、ンなもの店員は見慣れてるらしい。



顔色一つ変えず言う。



ホストクラブじゃ札が舞う、みたいなイメージあるから、カード払いもOKなのはわかっていたが、ATMでわざわざ現ナマを引き出してきた。



ちょっと昭和の芸能人っぽいイキり方だったかな。



F「どこでもそうなの？」



「はい。

普通はそうです。」



チッ、しょーがねえな。



免許証を渡した。



あっぶね〜



芸名で活動しててこれほど良かったと思った日は無い。

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