TOXIC【東海オンエア】

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虫眼鏡side

「おいしかった〜」

虫「ね、デザートも美味しかったし。また来よ」

「彼女と？」

虫「そうだね」

「ラブラブじゃーん。いいなぁ」

虫「Aはいい子だし可愛いからさ、いい人見つかるよ。絶対。」

「…可愛いって言わんで」

虫「なんで？Aは可愛いよ。贔屓目なしに」

「…それだけじゃ意味なかったもん」

虫「今回の男がクソだっただけやん、Aは何も悪くないんだら？」

「…そうだけど、なんかもう、わからん」

俯くAの頭を撫でる。
小さい頃も、こうして泣いてるAを慰めたなぁ。

虫「昨日、楽しかった？」

「ん？楽しかったよ、久しぶりにあんなに笑ったもん」

虫「…ならよかった」

「ずーっと一緒にいるんでしょ？いいなぁ、楽しそう。」

虫「そう？疲れるよ？(笑)」

「とか言ってたいちゃん、あの人たちのこと大好きじゃん」

虫「まぁ好きだけどさ」

「ツンデレだ〜！(笑)」

僕の力だけじゃ、きっと彼女の心の傷は癒えない。今の彼女に必要なのは、過去と向き合うことじゃなくて過去を忘れて笑うことだ。それは僕だけじゃきっと不可能で、僕の役目じゃない気がした。僕は幼なじみのお兄ちゃんとして、彼女を遠くから見守ることだと思う。

優しくて可愛い僕の幼なじみが、誰かの隣で心の底から笑えることを祈るしかなかった。

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