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「あ、伊藤〜。今日もこれやってくれないか?」

そう言って渡される大量の資料




嫌だって言わせてくれないんだ

『やっときますね』

作った笑顔を向けると先生はいなくなった


今日も変な1日だった


先に音楽室で伴奏の練習をしよう


家では出来ないから


そう思って音楽室へ向かう




『…誰かいる』

聴こえてくるピアノの音



あれ、自由曲の伴奏


もしかして、苺谷くん?


まずい

これ以上、関わったら危険


脳が判断して、いつの間には後ずさりしていた



バサバサッ



やってしまった


楽譜を落とした音が、聞こえてしまったみたいで


ピアノの音も止まった



私はあわてて楽譜を拾う

大丈夫

まだ平気


このままクラスへ戻ろうとした



る「…あ、伊藤さん」


『……』

間に合わず、見つかってしまった


る「使います?もう僕終わるから」

『…それなら。ごめんなさい』

る「なんで謝るの?ほら、来なよ」

私は斜め下を向きながら歩く

椅子に座って、鍵盤に指を置く

クレッシェンドから始まるこの曲

強すぎたのか、聴いていた苺谷くんが少しびっくりしていた



それにしても、帰らないのか。この男は


『…帰らないの?』

近くの椅子に座っている彼に聞く

る「どうせ今日も資料の整理たのまれたんだよね?僕も手伝うよ」

『別に、大丈夫…』

る「暇だから」

何か考えてそう


普通家に帰るものじゃないのかな


家に帰って、ごろごろしたい

この言葉を何回聞いてきたものか


ごろごろできたらどれだけ楽なんだろうな


そんなことばかり考えてたら、いつの間にか弾き終わっていた

小さな拍手が聞こえる

る「上手だね。強弱とかすごかった」

『苺谷くんも上手じゃない。』

私はそう言いながらピアノを片す


る「一回でいいの?」

『うん。確認のために弾きに来ただけだったから』

る「そうなんだ」


私が教室に戻ろうとすると、苺谷くんもついてくる



この後一緒に作業するのか



少しだけ憂鬱になった

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天音 - 夢主の気持ちすごく共感できる。私も学級委員長だから、その気持ちよくわかる。家庭は普通だけど色々あって、溜め込む。私もこんな毎日が続いているけど、これ見てすごく泣いたからかな、結構、楽になりました。ありがとうございました。 (2021年12月23日 0時) (レス) @page22 id: 762cbec691 (このIDを非表示/違反報告)
あやら - 面白いです!もっと読みたい!いつでもいいので更新頑張ってください! (2020年9月21日 15時) (レス) id: 99c1120ef0 (このIDを非表示/違反報告)
まと(プロフ) - たったも面白かったです!もっと早く出会いたかった! (2019年9月23日 23時) (レス) id: 8f5bdce57b (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃ - ものすごく感動しました。新作楽しみにしてます! (2019年9月14日 10時) (レス) id: 7dc9d510f6 (このIDを非表示/違反報告)
梨愛-ria(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます!なんか読みやすいんですよね。短編集でも長編でもこれからも読ませていただきます! (2018年10月23日 17時) (レス) id: f49c58eb99 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぎはら | 作成日時:2018年9月19日 1時

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