募る不安 ページ43
ツバキside
夕食の準備が出来上がり
私はせいら様をお呼びしに参りました。
「せいら様、夕食の準備が整いました」
「分かったわ」
せいら様を椅子までエスコートし
着席されました。
「ツバキ」
「はい」
「夕食後、寝るまで傍にいてほしいの。私が眠るまでよ」
「かしこまりました」
ご不安なのでしょうね。
私もですが。
旦那様のご決断を待つしか…。
夕食が終わりました。
せいら様はあまり召し上がられませんでした。
私はともかく、せいら様は何としても食事はきちんと取って頂きたいのですが…。
「せいら様、不安なのは分かりますが食事は取りませんと…」
「そんなに食べられる気分じゃないの。分かってるでしょ？」
「えぇ……」
「なら言わないで」
「申し訳ございません」
「部屋に戻るわよ」
「かしこまりました」
そうしてお部屋に戻ろうとした時
旦那様についている執事の方が目に映りました。
その方は夕食が乗ってあるトレーを持っていました。
「っ、せいら様」
その執事が礼をする。
「そのトレーはお父様のものかしら」
「えぇ。旦那様が部屋で食事をすると仰ったのでお持ちしたのです」
「…そう。引き止めてごめんなさいね。行っていいわ」
「いえ、お気になさらず。では失礼致します」
旦那様……
私達のことを考えてくださっているのですね…
「ツバキ」
「はい、ただいま」
お部屋に着きました。
数十分後、湯浴みをなされました。
そしてせいら様が眠るまで
お傍に仕え、お手を握り、頭を撫でて差し上げました。
せいら様は必ず私が幸せにする。
他の者ではダメなのです。
私でないといけないのです。旦那様。
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作者名：さくや＠執事・メイド | 作成日時：2018年9月26日 10時
