神 様 の 娘 【刀剣乱舞】

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朝誰かの気配で目が覚めたAはその人物を見て、おとうさま、と掠れた声で呼んだ。
呼ばれて娘に気づいた蜂須賀虎徹は、どうした？、と言いながら娘の頭を撫でてやると彼女はやんわりと笑う。




『……いまの、時刻は？』


「朝の八時だ。よく寝ていたね」




薬研藤四郎から面会を控えるように言われたが、娘の事が心配で居ても経ってもいられず薬研藤四郎から許可を得て、娘に会いに来た蜂須賀虎徹が歌仙兼定から託されたお粥を小皿に盛り付けていた。

食べれるかどうかは別として、腹に何かを入れなければ薬は飲めない。薬が飲めないと言うことは辛い思いが長く続く。




「歌仙が作ってくれたんだ。少しでもいいから食べよう」


『はい、』




Aは本当に聞き分けがいい。

それは、作ってくれた歌仙兼定や持ってきてくれた蜂須賀虎徹に申し訳ないからという気持ちだけで行動しているわけじゃないだろう。

ちゃんとした教育もしてないのに根本から優しすぎる娘は、今も自力で体を起こそうとしている。
蜂須賀虎徹は盆の上に小皿を置いて、慌てたようにAの背中を支えた。


炎の様に熱を持った体とそのせいで紅潮する頬。辛そうな呼吸にうるんだ瞳。この様子を見ればしんどい事がよく分かるが、その気持ちを共有することは出来ない。

刀剣男士は手入れがあればある程度の怪我は治る。折れる寸前の怪我でさえ、三日もあれば癒える傷なのだ。
けれど人間は違う。
擦り傷でさえも三日もくらいでは消えず、風邪という初期の病でさえも三日で治れば良い方である。




「さっき冷ましていたから直ぐに食べれるよ。……ほら、口を開けて」




蜂須賀虎徹に言われていつもより小さく口を開けた娘に、ゆっくりと匙で掬った粥を流し込んだ。

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