【1 デパス】 ページ3
___別れよう
サザエさんシンドロームがやってくるこの時間。
賑やかなテレビの音をBGMとは裏腹に、スマホの液晶画面には淡白な言葉が静かに映し出されていた。
黄昏 Aは、今付き合っている彼氏に震える手を何とか抑えながら、冒頭の言葉をLINEで送った。
急な別れ話ではなかった。
何度か、別れを考えさせる内容は送っていたのだが、相手はそれを受け入れようとはしなかった。いや、無視していたとでも言っとこうか。
今回も、そうだった。
___流石に、返信来るよね
そう思っていたが、日を跨いだ次の日の朝になっても返信は来なかった。
見てないのだろうか。
それとも、また無視しているだけだろうか。
そう思い、トーク画面を開くとメッセージの下に小さく”既読”と付いていた。
見てはいるが、返事は来ない。
一体彼は、何を考えているのだろうか。また、何も無かったことにするのだろうか。
「……はぁ…」
小さく溜息を零すと、少し重たい体を起こし、学校に行くための身支度をする。
彼とは同じ学年だが、クラスが違うことが唯一の救いだった。運が良ければ、丸一日顔を合わせることは無いのだから。
洗面台に行くと、鏡に映った自分の顔は酷く醜く汚いものだった。
ここ最近眠れていなかった事を表すかのように、目の下に濃ゆくできた隈。殴られたのかとでも言うように腫れぼった両瞼。
泣きすぎて、目を擦り過ぎたのだろう。水で洗うと、ピリッとした軽い痛みが走った。
鼻の下も少しただれ、唇を何時の間にか噛んでしまっていたらしく、皮が少し剥けて血が滲んでいた。
本当に、汚い顔だ。覇気がなく、生気すら感じられない。他から見たらきっと、”病んでいる”と思われるのだろう。
「A! 信介君、迎えに来とるよ」
丁度、身支度を済ませた時。玄関から聞こえてきた母の声に、驚きを隠すことが出来なかった。
”信介君”こと、”北信介”。
中学からの付き合いで、家も徒歩1分の場所にある。
いわば、ご近所さん。だが、家に迎えに来るという事はそうそうなかった。
登校時に道で会い、一緒に行くという事は何度かあったが。
馴染みとは言え、先輩である彼を長く待たせる訳にはいかない。
普段付けないマスクで顔を隠し、教科書やら部活道具などがパンパンに入ったリュックを背に玄関へと小走りで向かう。
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ソラ(プロフ) - ami☆さん» 読んでくれてありがとぉぉ!! サイレースとパキシルね!話の途中でぶち込むね!丹精込めて書いてきます!! (2020年3月31日 23時) (レス) id: 4de741d4e7 (このIDを非表示/違反報告)
ami☆(プロフ) - ソラさん» リクエストします! サイレースとパキシルをモチーフにしたお話を読みたいです…!(ざっくりしててごめんね) お願いします! (2020年3月31日 17時) (レス) id: 8fb5979ada (このIDを非表示/違反報告)
ami☆(プロフ) - ソラさん» 凄く面白かったぁ! 頑張ってね! (2020年3月31日 17時) (レス) id: 8fb5979ada (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - ami☆さん» amiちゃん!呼んでくれてありがと!ひょっと、思いついてね!亀更新だけど、がんばります! (2020年3月30日 12時) (レス) id: ab9ea58111 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - まーまーさん!読んでくださって、ありがとうございます!文字数を中々少なく出来なくて.......がんばって、少なくしてみます!アドバイス、ありがとうございます! (2020年3月30日 12時) (レス) id: ab9ea58111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラ | 作者ホームページ:https://twitter.com/A5LKSPZiLYiWd6N?s=09
作成日時:2020年3月27日 18時