捌＊加州清光 ページ9
そんな風に暫くこんのすけと話していると、誰かが歩いて来る音が聞こえた。
誰だろうと振り返ると、通りがかったのは髪を一括りにして肩にかけている綺麗な……女の人？
いや、刀持ってるし、刀剣男士か。
全体的に見ると赤が印象的だなぁ。
すると、私の気配に気づいてこちらを振り向いたその人と目が合う。
瞬間、飛び上がらんばかりに驚かれ、私も驚いた。
そして畳み掛けるように構えられてパニック状態。
私は斬られそうになってパニクり、こんのすけは止めるように、刀剣男士はフラッシュバックでも起こしたのか、２人と1匹で叫んだ。
「「「わあああああああああああ！！！！！」」」
私達の叫び声が本丸いっぱいに響き渡った――…。
―――それから、瞬間的に私が逃げたため空振りした刀との距離を置き、暫く睨み合っていた。
こんのすけがどうにか説得してくれて、ようやく落ち着いた頃……私達は向かい合って正座をしていた。
その中間にこんのすけが座っている状態だ。
「審神者様、こちら初期刀の一振り、加州清光殿です」
未だに心臓がバクバクと脈打っているが、きっとそれ以上に彼が緊張している。
「は、はあ……あの、新しくここの審神者となりました…。よろしくお願いします……」
「えっ、あ…加州清光。よろしく…」
お互いにドギマギと自己紹介をすると、沈黙が走る。
何か話そうと思考を巡らせるも、なかなか思いつかない。
「あ、あの、いい天気ですね……？」
「そう…ね？」
ダメだ！続かない！！何か、何かないか！！？
そこで、ふと彼の容姿に目を止める。
「ねえ、その怪我って戦いの？」
彼の容姿は決していいものではなかった。
ボロボロの服で、あちこちに血がついていて、彼自身も傷だらけだった。
「あーこれ？戦での傷もあるけど……まあいろいろかな」
自分の体を見下ろしながら、自嘲気味に笑う彼を見ていると放っておけなくなった。
「こんのすけ。手入れってどうするの？」
「え？て、手入れは、手入れ部屋で行いますが…」
「よし、手入れ部屋に行こう！！えっと…」
早速名前をド忘れしてしまった。
それを察してくれた彼がまた名乗ってくれた。
「加州清光……手入れ部屋に行くほどじゃないし、別にいいよ」
そそくさと退散しようとする加州。
私は慌てて、引き止める術を見つける。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヒタリ | 作成日時：2018年8月28日 23時
