【とうらぶ】微力だけど任せてください！！【ブラック本丸】 (ページ7)

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陸＊実物本丸ページ7

私の名前は桜川 A。

審神者とかいう、付喪神を束ねる人物になり、ただいま担当する本丸へ向かっている。

けれど、問題はその本丸にある。

その本丸は、前審神者が最悪な奴だったため、荒れ果ててしまったブラック本丸。

傷ついた付喪神に必要なものは、審神者からの愛情、優しさ、信頼だった。

それらを満たす、又はそれ以上の審神者として私が抜擢された。

不安しかないが、やるしかない。最も私が彼らを救いたいと思った。

「これから…頑張らなくちゃ」

決心を歪めないように、いつでも真っ直ぐでいようというのをモットーにして本丸へ向かう。

＊＊＊＊＊＊

到着して車から出てみると、煤(ｽｽ)で汚れたような扉があった。

「え…火事でもあったんですか？」

「いえ、これは霊力の現れです。
田嶋審神者の霊力は汚れていったので、最終的にこうなりました」

「うわあ……ヤバイ雰囲気」

これは真面目に死ぬかもしれないと思ったが、腹を括って門を開けた。

想像以上の汚さだった。

「これ、文章で説明するには辛い状況ですよ」

「では、私はこれにて。何かあればこんのすけにお聞きください」

そそくさと去っていった車を恨みがましい目で見送る。

足を踏み入れると、自然と門が閉まったもんで焦った。

取り敢えず、まずは「こんのすけ」を見つけなきゃ。

「こんのすけ～…」

呼べば来るのかと思って呼んでみたが、やはり来ない―――

「お呼びですか？審神者様」

――と思ったら可愛らしい狐が出てきた。

まだ傷が完治していないのか、お腹や頭に包帯が巻かれていた。

しゃがみ込んでみると、体をビクリと震わせたため、罪悪感が少し積もった。

「えっと、君がこんのすけ？狐でいいの？」

「はい。僕は狐の"こんのすけ"と申します。
この度は審神者就任おめでとうございます！」

可愛らしい顔で微笑むものの、その表情は疲れきっているようだった。

「ありがとう！その、話は聞いたけど、こんのすけは……」

どんな事をされたの？

そう聞こうとしたが、掘り起こすのはあまり良くないと思い口をつぐんだ。

そんな私を見て、小首を傾げたこんのすけを見ると、少しだけ胸が傷んだ。

「な、何でもない。やっぱりいいや！
あ、そうだ。案内してくれるんだよね？」

「は、はい！お任せ下さい！！」

確認しただけなのに怯えられて、地味にショックを受けた。

もしかしたら、こんのすけは「違うとは言わせねぇぞ」って雰囲気を感じたのかな。