【とうらぶ】微力だけど任せてください！！【ブラック本丸】 (ページ45)

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参拾肆＊歪ム心※暴力表現ありページ45

今の今剣が正気じゃないことは、他の皆も分かっていた。

「今剣さん、落ち着いて」

石切丸さんが声をかけるも、それに反応する気配はない。

離れたと思った小さな手は、今度は首に巻きついてきた。

ぎりぎりと締め付けられ、呼吸が上手くできなくなる。

「い、まの…つるぎ…っ」

何とか絞り出した声は掠れ、小さくて届かなかったかもしれない。

さすがにマズイと察した他の刀が、慌てて今剣を押さえつけようとする。

「今剣！やめろ！！」

長谷部さんが肩を掴むが、今剣は動かない。

私の首を絞める手に力が入っただけ。

「今剣さん！！」

「やめぬか！今剣！」

石切丸さんも岩融さんも、声を荒げはじめる。

「今剣！止めて！！田嶋はその人じゃないよ！」

加州は今剣の胴体に抱き着いて、私から引き剥がそうとしている。

そうやって周りを見るだけで精一杯だ。

次第に力が抜け、後ろに倒れていく。

今剣から押し倒される形で、再び体が倒れる。

体重をかけられ、より一層きつく締まる首。

空気が通るような隙間はほとんどないだろう。

現状、あまり入ってこないのだ。

「いま……つ、る」

頭がぼうっとする中、皆の声がこだまする。

彼は周りなんか視界に入ってないようだ。

「田嶋ガ……イル…チカクに……そうでショウ？」

「ちが……も、いな…」

田嶋の気配はもうない。

何処に行ったのだろう。形はあるのだろうか。

「今剣！！！」

岩融の低く大きな声が部屋いっぱいに響き、今剣が肩を揺らした。

「あれ…ぼくは……？」

今気づいたかのように私の首から手を離す。

「ゲホッ！ゴホッゴホッ…！カハッ…ヒュー…」

空気を貪るように息をする私を見下ろした目は、驚きに見開かれていた。

やがて、体を全体的に震わせながら、手で顔を覆った。

「あ、あぁ…ぼくは、ぼくはなにを…ッ！！」

赤い目から大粒の涙が零れ落ちる。

私の上でガタガタと体を震わせながら泣く姿は、見た目通りの幼さを感じた。