拾漆＊食事と寝床 ページ18
その晩、私は部屋の整理をしていた。
家から持ってきた私服はお出かけ用。
本丸で過ごす時は政府からプレゼントされた…これ何ていうんだろ。
袴(ﾊｶﾏ)？みたいなの。
「色もそんなに目立たないし、淡い色で結構好み」
試しに着てみたものの、自分じゃよく分からない。
その時、廊下から こんのすけ の声がした。
「こんのすけ？丁度良かった！ちょっと見て欲しいんだけど」
こんのすけが居るだろう下を見ると、そこには黒い足があった。
正しくは"黒い靴下"をはいた足。
恐る恐る顔を上げると、そこにはあの人がいた。
ほら、あの人…眼帯の…。
「燭台切光忠殿ですよ」
そう！光忠さん！！こんのすけナイス！！
「あ、光忠さん、こんばんは…その…」
「…ご飯を持って来たんだけど、食べるかい？」
「え！食べます！！いいんですか！？」
「審神者様、順番を間違われております」
「いいんですね！食べますか！？」
「意味が大きく異なってます…」
丁度空腹だったのだ。タイミングがいい。
その時、誰かが歩いてくる音が聞こえ、私達はその人物へ目をやる。
「あ、長谷部殿！」
そう、長谷部…いや、忘れてなかったよ？
長谷部さんが光忠さんと同じお盆を持ってきた。
「ん？光忠、お前も持ってきたのか」
「あー…食べてくれるかなって」
苦笑した光忠さんに、長谷部さんは笑いかけた。
「安心しろ。この方なら食べられるぞ」
「有難く頂戴します！」
腹の虫が鳴るのと同時にお盆を受け取ると、光忠さんは引き気味に笑った。
「長谷部さんのも受け取ります！お腹が空いてるので」
「え、食べられますか？」
「余裕です」
そう言うと、長谷部さんは私の机の上にお盆を置いた。
二振りがその場を去ろうとして、こんのすけが私の肩に飛び移ってきた。
「わっ！こんのすけ？」
「先ほど、見てほしいものがあると言われたので」
「た、確かに言ったけど…寝床は」
「今晩はここにします」
「「え！？」」
こんのすけの発言に、光忠さんと長谷部さんが勢いよく振り返った。
私が驚くわ。
こんのすけは今は他の刀剣男士の元で寝ている。
理由は明白。審神者に怯えているから。
「こんのすけ君！？一体どうして…」
「光忠殿、長谷部殿、この審神者様は悪い方ではありません。むしろ、どこか抜けていて愉快な人です！」
「こんのすけ…それ褒めてるのか貶してるのか分からないよ……」
どんな反応をすればいいのか分からず複雑な気持ちだ。
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作者名：ヒタリ | 作成日時：2018年8月28日 23時
