【とうらぶ】微力だけど任せてください！！【ブラック本丸】 (ページ11)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:63,996 hit

拾＊加州清光３ページ11

「……ねぇ、もしかしてアンタの名前って桜川？」

「え……ええ！？」

「あ、審神者様。苗字だけなら大丈夫ですよ」

「そ、そう？うん、桜川。そうだね」

刀剣男士は付喪神。真名を知られれば神隠しに逢うと有名な噂が立っている。

それを知っていたからこそ慌てたものの、なんだ、苗字はセーフなのか。

「やっぱり。俺さ、審神者の霊力を試しに感じ取って、感想を述べるためにこの本丸の代表として行ったんだよね」

「え、そうだったの？」

「うん。それで、一人だけすごく心地良かった霊力があったんだけどさ……アンタだったんだ」

そう言って私を見つめる加州の瞳は優しかった。

何だかくすぐったくて目を逸らすと、急に立ち上がった。

「まだ完全に信用した訳じゃないけど、これからもよろしく。手入れ、ありがとね」

そう言い残して、手入れ部屋を出ていった。

「何だか、いい子だったね」

「加州殿は主からの想いを大切にする方。そのためには日々の努力を惜しみません」

「そうなんだ…」私は手入れ部屋の襖を見ながら呟いた。

そんな刀が、審神者に斬りかかって来るほどのことがあったとなると、余程のことだろう。

やっぱり、ここの闇はただ払うだけじゃダメだ。

私はちゃんと理解したい。