夕立ちに手を叩け ページ1
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何年か昔、1度だけ相方の
まふまふに秘密のことを言ったことがある。
それは別に、炎上するようなものでも
バラされて困るようなものではないけれど
いざ、公言するのも年齢と反して恥ずかしかった。
それだけの理由だったが
" 空を見るのが好きだから " という
俺、そらるの由来にはもう1つ理由があったなんて
今更誰も思わないだろう。
これは俺の秘密の話。
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「 ねえ、○○くん 」
「 なに? 」
「 私が死んだら、どう思う? 」
白を基調とした、他と変わり映えしない病室。
外から来た人間からすれば
幾つになっても慣れやしない
鼻にツンと入り交じる独特な香り。
頭の思考停止を捗られるこの場所で
目の前の恋人は、目を伏せがちにそっと呟く。
粗方予想は直ぐについた。
余命を宣言でもされたのだろう。
俺がそう、咄嗟に考え着いた理由は
担当主治医には覚悟が必要かもしれない
と事前に聞かされていたからだ。
俺の判断で本人にはまだ黙っていよう
そんなエゴを通してきたのだが
それももう用済みらしい。
「 知ってたよ 」
問い掛けにはどう遠回りをして考えても
結びつかない返答となってしまったが
彼女には通じたようだ。
何を聞いても動じない君は
余命を宣言されても動じず、寧ろ
清々しい顔で続いて話す。
「 死んだら、悲しい? 」
元々反応が弱い俺に、「今日のご飯何かな?」
と当たり障りのない日常的な事を聞く声色で
君は非日常的な事を聞いた。
なんて、応えれば正解なのだろうか?
学校でも友達にも親にも習わない。
20年弱生きてきたはずなのに。
過去最大の難題で悩むに嘆いた答えは
「 __君が望むなら俺は、 」
聞かれたことに反した
答えではない俺の気持ちだった。
これが後悔であり、起点のはじまり。
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ちょこ - とてもよかったです! (2020年7月11日 23時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Touka | 作成日時:2019年6月28日 20時