検索窓
今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:1,014,500 hit

case 46 ページ47

.


カランとロックグラスの氷が音を立てる。









考え事をしていて、

気が付いたらグラスの中は空になってた。









「ん。」









目の前に置かれたジントニック。









『え?……頼んでないよ?』









「それ、サービス。

てか、今日はそれ飲んで帰れ。」









『……何で?』









「今日は、

良くない酒になりそうだから。」









柊さんの表情は変わらない。









でも、これが柊さんなりの気遣いだ。









私の、ホントに些細な変化に

紗枝と同じくらいのスピードで気が付く。









似た者カップルめ。









確かに、今夜はこのまま飲み続けたら

悪酔いしそうな気はする。









ホントに優しいね……柊さん。









でも、その優しさが

紗枝を不安にさせるんだろうな……。









「何があったか知らんけど、

あんま考えすぎんなよ。」









帰りに店の出入り口まで

見送りに出てきてくれた柊さんが

少し心配そうに言った。









『ありがと……。』









柊さんの手が、

私の頭をぽんぽんと撫でる。









その優しさに少しだけ泣きそうになった。









「あ……。」









その瞬間、後で声がした。









振り返るとそこには、

あのカウンターの左端に座っていた彼が

所在なさげに立っていた。









「おう、宏、いらっしゃい。

今日は早いな。」









柊さんが声をかけると“宏”と呼ばれた彼は

人懐っこい笑みを浮かべて近寄ってきた。









「柊さ〜ん、

俺、もしかしてお邪魔しちゃった?」









「バーカ、何言ってんだよオマエ。

じゃ、A、気を付けて帰れよ?」









『ありがと、おやすみなさい。』









笑い合う二人に背を向けて私は歩き出した。

case 47→←case 45



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (438 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1252人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

とーか(プロフ) - 椿さん» 椿さん、こんにちは。お久しぶりですね(*´∀`)♪こうして、何度も足を運んでくださる方がいるのは、本当に幸せです。ありがとうございます。まだまだ、どちらでも選べる状況ですね(笑)是非、楽しんでください♪ヽ(´▽`)/ (2017年9月17日 13時) (レス) id: b9afaafbf4 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - とーかさん(^^)今masqueradeを読み返しています!読みたくなる周期が来ました(^^) これ、周期なんですよ!今ここ(どこ?)読んでます(^^) 25歳の河村さんです♪数ヶ月ごとに来るんですよね〜体がmasqueradeを欲する笑 (2017年9月17日 9時) (レス) id: 82296b2639 (このIDを非表示/違反報告)
とーか(プロフ) - 通知が来た瞬間に、canちゃんだってわかった私を褒めてくれてもいいよ?(笑) (2017年8月27日 22時) (レス) id: b9afaafbf4 (このIDを非表示/違反報告)
canちゃん(プロフ) - やっぱり柊さんイイネ(≧∇≦)b読み返してますw (2017年8月27日 22時) (レス) id: c46e367273 (このIDを非表示/違反報告)
とーか(プロフ) - canちゃんさん» canちゃん、わざわざこっちにもコメントありがと(^-^)v通知がいかないように修正してたのに、間違えて保存したから飛んでったよな?(笑)ちょっとは読みやすくなってると良いんだけど(笑)もう最初の頃、読みにくすぎるわ(^_^;) (2016年11月29日 9時) (レス) id: 7792d559cd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:とーか | 作成日時:2016年5月29日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。