Masquerade

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ー25歳 12月ー




街中が、

クリスマスイルミネーションに染まる。









赤と緑とゴールドに彩られた店内は、

気持ちまでウキウキとさせる。









ここが今期の一番の稼ぎ時。









プレゼントを探す人々に、心が逸る。









そんな時、フラりと入ってきた人影……。









『こんにちは。

いらっしゃいませ、藤ヶ谷様。』









「河村さん、よくわかったね。」









そう言った藤ヶ谷様の装いは、

ハットにサングラスをかけていた。









いや、わかりますから(笑)









どんどんその世界で

磨かれていっている藤ヶ谷様は、

少しだけオーラのようなものを

纏い始めている。









『大切なお客様ですから。』









「ふふふ。ありがとう。」









……まただ。何だろう、この既視感。




何処かで見たことあるような笑顔。









『本日は、いかがされました？』









「あ、うん、

俺、バッグ欲しくてさ。」









『ついに、ご自身の

お買い物でいらっしゃいますね(笑)』









「うん(笑)」









『普段使い用ですか？』









「いや、旅行って言うか……

二泊くらい出来る用の大きめなヤツ？」









……ああ、お仕事で地方へ行く時に

使う用ってことね。








藤ヶ谷様は、おしゃれだ。







今日もシンプルだが

シルエットが綺麗な

グレーのコートを着ている。









それが、スタイルの良さと相まって

藤ヶ谷様の魅力を引き立てている。







うん、チャコールグレーの

ボストンバッグを持たせたい。









『こんなのはいかがですか？』









「ん〜……悪くはないけど……

もう少し大きいのがいいかな。」









少し眉根を寄せるその表情は、

これまでの可愛い雰囲気とは

また違う色をしてる。









藤ヶ谷様、ホントに

格好よくなっていっている。









ふとした動きにさえ

変化が見られるのは、

きっと藤ヶ谷様の努力の結果だろうな。

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