本丸*36 ページ38
取り敢えず、本丸内のことは把握しておこう。
と、昨日は案内されなかった場所へと足を向けた。
外の様子も確認しようと縁側を歩いていると、少し先で腰掛けている三日月宗近君を見つけた。
戦装束で、何か考え事をするように庭を眺めている。
声、かけてみるか。
｢…三日月宗近君。｣
｢あなや、審神者か。気付かなかった。｣
｢何かお悩みですか?｣
暗殺する気も無いようなので、隣にストンと腰かける。
それから、あ、と思い出し人一人分の間を開け直す。
三日月宗近君は安心したようにホッと息を吐く。
それから彼は口を開いた。
｢いや、なに。ずっと部屋の中に居たからな。久々に外を眺めたくなっただけだ。｣
｢ずっと、ですか?｣
｢あぁ、初代も、その次も。
俺を外には出したがらなかったからな。｣
ふむ…。
確かに彼は天下五剣であり、レア登録されているらしいが、彼らは戦うために呼び出されたはずだ。
彼らにとってはこの上なく酷い仕打ちだろう。
｢…審神者よ。
約束なら、この本丸を俺たちに明け渡すと言ったな。｣
｢私を殺せたら、ですけど。それがどうかしましたか?｣
｢うむ…。
俺はな、もう部屋の中に居るのは飽きたのだ。｣
つまり、それは…。
｢だから、審神者よ。殺される前に俺を外へ出してくれ。
俺は刀の付喪神だ。
朽ちるなら、使われたあとの方がよい。｣
｢私を、信用してくれるんですか?｣
｢信用はまだ出来ぬ。
だがこれでも俺はじじぃでな。
人は悪い奴もいるが、良い奴も確かに居ることくらいは、分かるぞ。｣
…そうか。
なら、期待に応えなくちゃね。
｢安心してください。｣
ぴょんと立ち上がって
三日月宗近君にとびきりの笑顔で言う。
｢私は殺されませんので、
いくらでも外へ出して差し上げますよ。｣
三日月宗近君が呆気にとられたような表情でこちらを見つめる。
私は、それじゃと言ってその場をあとにした。
後ろから三日月宗近君の高らかな笑い声が聞こえてきたことが、なんだか心地よかった。
(…期待しているぞ、人の子。
今度こそ、裏切ってくれるなよ。)
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凛音 - 本当に面白いです！続きがめっちゃ気になります！頑張ってください！ (12月4日 2時) (
レス) @page39 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
闇姫 - 続きが観たい！ (2021年10月13日 21時) (レス) id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
蝶桜 - この神作品とても面白かったです。続編が気になります！ですが更新停止中ですけど大丈夫ですか？応援していますよ！ (2020年11月24日 23時) (レス) id: 6ca4bff9b3 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー大好き！！(プロフ) - 続きがとても気になります。更新楽しみにしてます！！ (2020年7月24日 20時) (レス) id: 2d39102061 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - ヤバい！めっちゃ面白い！続きが気になるので頑張ってください！あっ！無理せずにです！このお話の続きをゆっくり待ってます！ (2019年3月26日 16時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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