近所のお兄さんが、苺の王子になってたんですけど。【stxxx/桃】

すれ違い ページ21

『ただいま〜』

さ「おかえり、A」

家に帰ると、当たり前だけど、さとみお兄ちゃんがいた。

『っ....___』

顔が、こわばる。

だって、るぅとに告白されたから。

お兄ちゃんになんて言ったらいい…？っていうか言わない方がいい…？

さ「A？どうした？」

『えっ、なんでも.......』

うわああああん、無理だよ、言えないいい！

私がアタフタしてると.......。

ピロロロロ

『ん？電話？.......って』

これ。

る、るぅとからじゃん！？

さ「お？るぅとじゃん。出な？」

『うっ、うん』

さ「俺のことは気にしないで、話していいよ」

『うん.....』

返事をし、電話に出る。

いくら電話とはいえ、今日の話をしたら、お兄ちゃんに聞こえてしまう。

だからお願い、今日のことは話さないで、るぅと.......！

『も、もしもし？』

る「もしもし、A」

『どうしたの？』

る「今日、ありがとう。楽しかった」

『えっ、あー、うん。』

さ「.............。」

あああああ！？

るぅとおおおおお！？

『あは、は。わ、私も.....』

る「それでさ、告白のこと。」

さ「.............。」

る「Aの気持ち、知ってる。だから返事無理にいらないよ」

『う、うん、ありがと...』

る「ごめん、困らせて。それじゃおやすみ」

『うん、おやすみ.....』

さ「.............。」

聞こえた、よね？

さとみお兄ちゃん、固まってるもん。

ど、どどどどうしよう。

『お兄ちゃ.......』

さ「へぇ、今日一緒に出掛けたのって、るぅとだったんだ？」

『う、うん』

さ「告白、されたの？」

『うん........』

お兄ちゃん、元気ない......？

『ごめんなさい.......』

さ「っ、なんで謝るの？A、悪くないじゃん。大丈夫、安心して。俺、Aを束縛する気ないから。気にするな」

『っ.......』

お兄ちゃん、無理して笑ってる。

さ「俺、動画の編集してくるから。先寝てて」

『うん.......』

待って。

嫌だ。

行かないで。

そう言いたかった。

でも、拒絶されたような、突き放されたような、切なさが襲ってくる。

さとみお兄ちゃんの背中が離れていく。

待って。

心まで離れていくみたいで、嫌だ。

『っ......』

でも、声は出ない。

どうしよう。

私たち、このまま崩れるの........？

そんな不安が、私にのしかかってきたのだった。

救世主→←秘密のデート(仮)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す