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・
不思議な花弁の形。
緑のふわふわした葉っぱ。
その奥に、茶色いオンボロアパート。
和也「みっちーは大学生？」
駿佑「はい。」
和也「ここで一人暮らしなんや」
駿佑「……はい。そうです。」
次の瞬間俺は、口を滑らせた。
駿佑「……ずっと、一人なんかもしれません。」
なんでこんな事を、
初対面の赤の他人に言ってしまったんだろう。
そう思ったけど、少し考えれば納得がいった。
それは、20年と少しの人生で初めて。
俺の心の隙間を
埋めてくれる人に出会えたと
本能的に感じたから。
和也「そうかぁ。」
今日もここで
一人で生きるはずだった俺の心に、
物心ついた時からぽっかり空いていた
二人分の隙間。
和也「ほな今日から、俺と友達！」
和也くんの笑顔が眩しくて。
俺は泣いてしまいそうだった。
和也「あ！」
駿佑「…、？」
和也「これ、種ちゃう？」
ホトケノザの葉の根元。
緑に包まれた黒い粒。
駿佑「ほんまや、種ですね。」
和也「ほ〜、初めて見た。」
和也くんはそれを覗いて
俺はホトケノザに手を添える。
種が2つ、そこに溢れ出た。
和也「ちっちゃ。」
駿佑「黒ゴマみたい。」
俺はそれをチラシで包み
和也くんに手渡した。
和也「え？」
駿佑「持ってってください。」
和也「ええの？」
駿佑「はい。笑」
この花たちは
自分を分かってくれる人たちに
見てもらいたいはずだと思った。
きっとここの住人たちに
この花の素晴らしさは分からない。
和也「ありがとう！大事に育てる！」
駿佑「はい！」
和也「名前とか付けよかな笑」
和也くんは
自分は店をやっているのだと言った。
店の名前は、“ほとけのざ”。
和也「今度、遊びきてや〜！」
あぁ、俺は。
きっとこの人の中毒になってしまう。
さっきまでの安心は
今この瞬間には恐怖に変わっていた。
初めて、心酔したいと思える人だった。
駿佑「はい、でも。」
失うことが怖いのは
まだ全てを失っていないから。
駿佑「そのホトケノザが咲いた頃、
会いに行ってもいいですか。」
そんな俺に和也くんは
また輝く笑顔を見せてくれた。
和也「おん！わかった！」
・
去っていく和也くん。
俺はその後ろ姿を
見えなくなる最後の最後まで
ずっと、見つめていた。
・
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まつだいら(プロフ) - Rioさん» コメントありがとうございます！また落ち着いたら、色々と書いていきたいです！読んでくださりありがとございました！✨ (2022年8月19日 16時) (
レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
Rio(プロフ) - 主さんのお話大好きです！！ぜひ裏設定も読みたいです！！ (2022年8月18日 16時) (レス) @page45 id: 9d6c92ab72 (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - 莉里さん» ありがとうございます！オメガバは需要が少ないと思っていましたが沢山の方に読んで頂けて本当に嬉しかったです！また戻ってこれた際は是非、よろしくお願いします！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - 完結おめでとうございます。オメガ設定は数少ないので、とても好きな作者さん、作品のお一人です。いつか戻ってきてくださることを楽しみにしています。 (2022年8月12日 21時) (レス) @page45 id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - ayさん» ありがとうございます！読んでいただけて、温かいコメントも頂けて本当に嬉しいです！もう少しで完結ですので最後までお付き合いお願いします！ (2022年7月31日 0時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつだいら | 作成日時：2022年7月19日 19時
