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ベッドに横たわる和也は


まだ赤みを帯びていた。



予定よりも早く、

この世界の空気を肺に入れた飛鳥は、


普通よりも小さな身体で

か細く、声を上げた。



俺は、そんな我が子を抱き上げた。



丈「……あすか。」



目を閉じたままの和也に

飛鳥の顔を見せてやった。



丈「かずや、、おめでとう…、」



和也は、何も言わなかった。



丈「ほら、見えるか?元気な男の子やって…、笑」



和也の折れた手は飛鳥を撫でなかった。



丈「可愛ええなぁ?

ちっちゃいなぁ?」



代わりに俺が、その小さな頭を撫でた。


赤く熱い血液が

小さな身体を巡っている。



丈「…、あすか、ママやで。

お前の、ママやで。……初めましてやな?

やっと会えたなぁ…、、」



飛鳥の目はまだ開かなかった。



「そろそろ、保育器に戻しますね……」



飛鳥は、母親と離れると

少し太く、鳴き声を上げた。



丈「…かずや………、、」



俺は、ベッドの横に跪いた。

冷たくなった白い手を握った。




丈「…かず、や……、、

かずや。…かずや…、、ぁ……、…」



和也は目を開けなかった。


ん?丈くん、どないした?……なんて、


いつもの声はしなかった。



胸に顔を埋めても、

何の音もしなかった。




丈「ごめんな…、ごめん…、かず…ごめん…」



柔らかい髪の毛は

少し湿って、額に張り付いている。


それを手で撫でて剥がすと

和也の頬に、俺の涙が落ちた。



丈「ごめんな、ぁ…、まもって、やれんくて…


いたかったなぁ、ごめんな…、ぁ…

ごめんな、ごめんなぁ、…、っかずや…っ…」



白い和也が、

もう瞳に俺を映すことは無かった。



丈「…、っぁ…ぅ…、かずや……ぁ゛…っ…

かずやっ、、、かず、やぁっ……!!」















冷たくなった和也の唇に







丈「………、、。」






……俺はそっと、






最後の口付けをした。






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まつだいら(プロフ) - Rioさん» コメントありがとうございます!また落ち着いたら、色々と書いていきたいです!読んでくださりありがとございました!✨ (2022年8月19日 16時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
Rio(プロフ) - 主さんのお話大好きです!!ぜひ裏設定も読みたいです!! (2022年8月18日 16時) (レス) @page45 id: 9d6c92ab72 (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - 莉里さん» ありがとうございます!オメガバは需要が少ないと思っていましたが沢山の方に読んで頂けて本当に嬉しかったです!また戻ってこれた際は是非、よろしくお願いします! (2022年8月13日 6時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - 完結おめでとうございます。オメガ設定は数少ないので、とても好きな作者さん、作品のお一人です。いつか戻ってきてくださることを楽しみにしています。 (2022年8月12日 21時) (レス) @page45 id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - ayさん» ありがとうございます!読んでいただけて、温かいコメントも頂けて本当に嬉しいです!もう少しで完結ですので最後までお付き合いお願いします! (2022年7月31日 0時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつだいら | 作成日時:2022年7月19日 19時

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