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「珍しいね、Aがお酒を買ってくるなんて」
「買い物に行ったときにね」
「でも、急にどうしたんだ?」
「あー……」
私が言葉を詰まらせると、不思議そうな顔をする太宰と作之助。
あの人、中原中也さんという人はあの後「俺が選んでやるよ」と言い弱い私でも飲めて、強い人でも十分楽しめるお酒を教えてくれた。
一つ一つ、丁寧に説明するその姿は普段からお仕事でも後輩を指導しているのかなと思うほど。
たった数十分の間だったけど、とても楽しかった。もしまた会えたたら、改めてお礼を言わなきゃ。
「親切な人が教えてくれたの。これが美味しいって」
「へぇ〜 それはまた」
太宰は持ってラベルを見ると、「なんか、見覚えがあるような…」とぶつぶつ言う。
「飲んでみるか」
注いでみると ふわっと甘い香りがし 飲みやすい。作之助も満足そう。美味しくてもう一杯注ぐ
「この小洒落た色合い、ムカつく香り、あいつを思い出さるを得ない」
「さっきから何言ってるの?」
「さあな」
ちびちびと気に入らない顔で飲む太宰。でも美味しいらしく、そこが何か気に入らないらしい
「いい酒だな また飲みたくなる」
「うん、ほんと」
このお酒を選んでくれた、中原中也さんに感謝。でもやっぱりどこかで聞いたことある名前なんだよなぁ
本の登場人物?それとも昔の知人?もしかしたら太宰なら知ってるかもしれない
「ねぇ、太宰」
パッと見ると、顔は赤く、目は虚ろで今にも寝そうな状態。急にそんなになって大丈夫だろうかと手を伸ばすと手首を掴まれる。その手はじんわりと熱かった
「酔ってる?」
声をかけても俯いたまま無反応、近くにあったお酒の瓶を見るともうほとんど入っていない
「お前、それ一気に飲んだのか」
「え、まさか」
聞いてもやっぱり無反応。いつもはゆっくり飲むのにどうして。とにかく何とかしないとこのまま寝落ちしそう
「……せ…たく、な…ぃ」
「え?」
虚ろ虚ろで何か言うと グイッと近づいた。長い前髪から覗く目がいつもより色っぽくお酒の香りがし少しドキッとする
「あい、つ……… の感じ…が、す…る」
それだけ言うとカクッと寝てしまった。あいつ?誰の事を言っているんだろう。聞こうにももう彼は夢の中
「寝ちゃった」
「仕方ないな」
作之助は太宰を抱えてソファに寝かせるとすぐに寝息をたて始める
あいつって、太宰は誰の事を言っていたんだろ。
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柚子の香(プロフ) - キリカさん» いえいえ!頑張ってくださいね! (2018年8月27日 17時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 柚子の香さん» ありがとうございます。ほんとだ"敦"ですね。すみませんありがとうございます! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 唯我独尊丸さん» わぁ ありがとうございます。うれしいです! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
柚子の香(プロフ) - 凄く面白い!ただ、ひとつだけいいですか?漢字が『淳』では無く『敦』だと思います。なんかすみません。この作品大好きです!更新楽しみにしてますね! (2018年8月27日 0時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
唯我独尊丸(プロフ) - 凄く面白かったです!イッキ読みしちゃいました笑更新頑張って下さい!楽しみにしてます! (2018年8月26日 23時) (レス) id: 2689cacca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キリカ | 作成日時:2018年8月22日 19時