世界は麗らか【文スト】

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敦side


ー探偵社ー




「あーあ やる気でない」




「朝からミノムシのような声を出すな太宰」




「眠そうですね 何かあったんですか?」






今日は依頼もなくて 平和な時間が過ぎているのにぼんやりしている太宰さん




「昨日飲み過ぎてしまってねぇ、私はやる気が出ない」




「そんなはっきり言われても…」




「敦くん 私は今から川に行ってくる 後はよろしく頼むよー」




「あ、ちょｯ!」



「コラまて太宰!!」



と、言っている間に出て行ってしまった。まだ仕事の半分も終わってないのに



国木田さんは手帳を開いて小言を言う




「まったく あいつは本当にどれだけ計画を狂わせるんだ」



「また太宰が抜け出したのか?」



「あ はい、そうなんです」




社長室から出てきた織田さんは「そうか」と言い太宰さんの資料をまとめ始める




「よく呆れないな あいつに」



「そうですよね」




この職場で唯一太宰さんの身勝手な、というか言動に反論しない織田さん




いつもさりげなくサポートしてくれて平等に優しいまさに憧れの大人だなぁ





「太宰が素直に言う事聞く事があるのか?」




太宰さんと織田さんは一緒に入社してきてなんでも前の職場からの仲だとか





「どうだろうな 昔は仕事ばかりしていたからな。今の方が 自由にしていて俺はいいと思うが」




「自由にも限度はあるがな」




「そういえば、Aさんも同じ職場だったんですか?」




ふと疑問に思った事を聞くと「いや、Aは違う」と織田さんは答えた




「何をしている方なんですか?」



「絵本を書いている」



「ほぉ 作家なのか」



「あぁ いい本ばかりだ」



「(あ……)」




織田さんが笑ってる。いつも僕たちに見せる顔とは少し違って、




Aさんの話をする時はいつも以上に優しい顔をするなぁ





「いつか会ってみたいです Aさんに」





素直に思った事を言うと 頭に手がぽんとのった




「そうだな いつか会える」





その言葉が心に響く



Aさん どんな人なんだろう




そのいつかが来る日が楽しみだな




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