世界は麗らか【文スト】

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ﾋﾟﾝﾎﾟ-ﾝ




「お届け物でーす」



「はーい ありがとうございます」




宅配便が来て荷物を受け取り、部屋に戻る



綺麗に包装をされ赤いリボンでラッピングされている包み





えーと 宛先は…




「うげぇ中也…!」



「わっ 太宰、作之助も」





二人ともいつのまにか来ていて私の持っている包みを後ろから覗いていた



太宰はいかにも嫌そうな顔をしてため息をつきながらソファへと倒れる





「何だろう、」




シュルッとリボンを解いて開けると 二本のワインと小さな箱が入っていた




「ワインか、」



「そういえば、前にいいやつ送ってやるって言ってた」




ワインを見てみると 結構年代物で今まで飲んだこと無いような品物だった




箱を手に取る 私の手のひらに乗る程




「A、それは開けない方がいい」



「どうして?」



「よくない気配がする」



「えぇ なにそれ」




中也に限って変なものは贈らないよ、と言っても太宰は何だか気に入らないという顔




ﾊﾟｶｯ



開けてみると 小さな耳飾りとメッセージが添えられていた




"手前に似合いそうなのを見つけたから贈る"




「なんてキザな奴だぁぁ」




と言いながら私の背中に項垂れる。耳飾りはとても繊細なデザインで中也の好みそうな感じ





「すごい、綺麗…」





光に当てると 赤橙がとても映える、普段買わない色合いだから新鮮で嬉しい





「太宰、そろそろ起き上がって」




耳飾りを箱にしまい 後ろを向いてもまだ私の背中に項垂れたまま動こうとしない



仕方ない、待とう





「夕飯もう食べた?」



「さっき太宰と」



「じゃあ、これ一緒に飲も?」




と、中也からもらったワインを出すと作之助は頷いてグラスを取りに行く




それと同時に太宰はようやく起き上がって、私の隣に座った





「元相棒からのワインはいや?」




「元相棒だからこそだよ 美味しいのがまた気に入らないねぇ」





ふぅーとため息をつくとこっちを見る。中也の話は昔から聞いていたけど探偵社に入ってからはあまり話さなくなったなぁ




そのせいか、初めて会った時に思い出せなかった




「中也も 私が太宰と作之助と一緒に飲む事を見越してこれを贈ってくれたんじゃないかな」





私がお酒に弱い事を知っているのなら、こんなに度数の高いものは選ばないだろう





一本は私でも飲めそうなワイン



もう一本は太宰と作之助が好きそうな銘柄




「いい贈り物だね」




目をじっと見つめると


気の抜けたように太宰は笑った




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