世界は麗らか【文スト】

01. ページ2

.


「あれ？」



街をぶらぶら歩いていると、見覚えのある後ろ姿を発見




「太宰、」




ﾄﾝﾄﾝと肩を叩くと 太宰が振り向いてﾊﾟｯと笑った




「やぁ A 奇遇だね」



「うん そうだね、お仕事中…の、ようには見えないけど」




とりあえず、川に飛び込もうとするのやめよっか



腕を引いてベンチに座るとｺｷｺｷｯと身体中の関節を鳴らした




「いやぁ、最近体が鈍ってて刺激を与えたかったんだよ」



「川に飛び込んで鈍りを取るのもどうかと思うけど、またお仕事サボってるの？」




それはダメだよ、と付け加えると不貞腐れたように頬を膨らませる太宰




「だあって、依頼主の所に行っては乱歩さんが即座に解決しちゃったり、国木田くんの理想の計画に三時間も付き合わされそうになったり」




と、言い盛大なため息を漏らした



それはまぁ、何というか




太宰や作之助から探偵社の事は聞いているけれど私は会った事がない




なので実際どんな状況かは分からないけれど




「乱歩さんをその依頼主の場所まで連れていけるのも国木田さんと絶妙なバランスでいられるのも、」



「太宰の立派なお仕事でしょ？」




そう言うと、太宰は少し目を見開いた





「ははっ そうだねぇ。国木田くんの理想には懲り懲りしてるけど」





面白そうに小さく笑うと足元の小石を蹴った。ﾎﾟﾁｬﾝｯと音を立てて川へと落ちる




「A、ゲームをしよう」



「ゲーム？」




いきなりの提案に首を傾けると、そう！と力強くいいｸﾞｲｯと顔を私に近づけた





「今から私をどんな方法でも良いから"喜ばせて"くれたまえ」




「喜ばせる？」




急な提案に焦ってしまう。一体何を考えているのだろうか




「もし私が見事喜んだら、Aの勝ちという事で私は仕事に戻ろう」




「もし喜ばなかったら、どうするの？」




そう言うと うーんと、悩む。そしてﾆﾔﾘと笑うとなんとも恐ろしい事を言い出した





「織田作と話す時に語尾にニャンをつけてもらおう」



「えぇ!?」



な、なんて意地悪な。そもそもその罰ゲームは太宰にとってどんな得があるのか分からないけれど




「わかった そのゲームのった」



「そうこなくっちゃね」




はぁ、勝たなければまた川に飛び込もうとするかもしれない



期待するような眼差しでﾎﾚﾎﾚどうくるのかなと言わんばかりの彼




あ、そうだ あれを言えばきっと勝てる



「昨日、作之助がね……」



.

02.→←00.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す