俺が好きになったやつ 【影山飛雄】

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「朝日奈、」



名前を呼ばれて振り向くと、エナメルを背負った彼だった




「こんにちは」


「おう 体調どうだ?」


「大丈夫 元気」


「そうか」


「影山ァァ!!」


「「!?」」





ｽﾞｼｬｧｧっととんでもない速さで突進して来たのは、彼と同じバレー部のオレンジ髪の子




廊下から煙がたったのではないだろうかというほど速く、彼に激突





「影山! 部活行こうぜ!!」


「日向ボゲェ! びっくりするだろうが!」


「なんだよー せっかく来てやったのに!」


「朝日奈にぶつかったらどうすんだボゲェ!!」


「アサヒナ?」





「誰?」と彼からひょこっと顔を出した




「私」


「え…な、なにななななぁ!?!?」






目が合った瞬間飛び跳ねて、彼の背後に隠れた。あまりの速さに目で追えず震えた様子





「?」


「おまっ しがみつくな日向!!」


「だ、だだだだ、だっだっだぁあ!!」


「何言ってやがる離れろボゲェ!!」


「ぐえっ!!」




ｺﾞﾂﾝｯと拳が入れられた。痛そう。「何すんだよ!」「お前がしがみつくからだろうが!!」と喧嘩のようなものが始まった





「大丈夫?」




日向、に歩み寄るとｼｬｷｯと姿勢を正して「は、はひっ!!」と答えた。なんか、警戒されてる





「おい日向、部活行くぞ」


「お、おおおお、おうよぉ!」


「頑張れ 二人とも」


「おお」


「は、ふぁい!!」






最後まで、なんであんなに怯えていたのかわからなかった





……………





「お、おい影山よ」


「なんだよ」




部室までの道のり 黙りっぱなしでよろよろだった日向がようやくしゃべった





「お前さっきの人誰なんだよォ!!」


「あ? 朝日奈っつただろうが」


「そうじゃねェよ!! あっ! もしかして昨日お前が保健室に会いに行った子!?」


「あぁ」


「か、かかか、影山に親しい美女がいるなんてっ!!」


「あ?」





さっきっからなに興奮してんだコイツ。朝日奈に会ってからテンションがバラバラすぎるだろうが






「はっ!! も、もも、もしかしてｯ…」



「なんだよ」


「台風の日に泊めてもらったのは!?」


「あいつだけど」


「勉強教えてもらったのも!?」


「おお」


「フォームが綺麗って言ったのも!?」


「おお」


「す、すすすすす、好きって言われたのも!?」


「あ?」




『好き』



そういや、初めて会った日 そんな事言ってたな




「おお」


「ぬがあぁぁぁぁぁあああ!!!??」



「お、おい!?」




俺は初めて 人の口から魂が抜けるところを見た



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