【ワートリ】ボーダー最強様はいつも退屈。（仮）２

69 ページ19

本部へ直通している通路を通り、基地内へ入る。いやに静かだな。
妙に思いつつ一歩踏み出した瞬間、入ってきた扉がロックされる。

『緊急なんちゃらってやつか？招集受けてからそう時間は経っていないのに、一体何がおこってるんだ？』

不審に思いつつ本部との通信を試みる。

『忍田本部長………。忍田さん？……基地に戻りましたよ。おーい。』

ダメだこりゃあ。インカムがいかれてやがる。それとも、妨害電波でも出でいるのだろうか。
とりあえず歩くか。直接指令室まで行けばいい話だしな。

耳障りなノイズだ。しかし、今通信を切れば、ノイズの中の声を聞き逃す恐れがある。そして案の定機械音の中に途切れ途切れの声が流れてきた。

「管……た…いま……通信室…人型……バ…」

通信室、人型。それだけで十分だった。


今日の私はツイている。


普通に考えて、本部が基地内に人型ネイバーの侵入を許すとは考えづらい。私が帰還するタイミングを見計らってあえて人型を誘い込み、ぶつけようと考えていたのかもわからないが、通信室にいるのは戦闘訓練もろくに積んでいない一般職員。果たしてそのようなリスキーなことをするだろうか。よりにもよって忍田さんが。

…人型か。行方知らずの人型が一体。しかも黒だったか。
戦えるなら冥利に尽きるが、もし本当に相手が黒なら、通信室の職員たちは、もう…。


とにかく急がなくては。





怪物だと言われたことは何度もある。

完全否定はしない、が、





心まで失ったわけじゃあない。

70→←68

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す