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「たまにはいいじゃん、ヘリはひのらんが出してくれてるし」
『…えー』
「早く出してどうぞ」
『自分で車出しなよ』
「俺の車今なずぴに貸してる」
『は?なんで?』
「喋るんだって、俺の車」
『…病院行く?』
「頭おかしくなった訳じゃないから」

いや今の会話はどう考えても頭がおかしい人と話してる感覚だったんですけれども。車が喋るってなんだ。どういうことか説明を聞くのももう面倒になって、半ばヤケクソでサイドブレーキを下げてアクセルを踏み込んだ。





「一旦落ち着いたか」
『うん、まさかコンビニ強盗で撃ち合い始まると思わなかったけど…』
「ギャンもこの時間大型出来なくて暇なんだろうな」
『暇だからって理由で撃ってこないでほしい』
「それはそう、でも一発ヘッショで沈めといて言うなとも思うけどね」

らだおとパトロールを始めた途端、来るわ来るわ強盗通知の嵐。警察が増えれば増えるほど犯罪の幅は広がるししょうがないんだけど、さすがに撃ち合いは予想してなかったから心臓と身体が嫌な疲れ方をしてる。幸い犯人をすぐにダウンさせられたから良かったものの、マジで弾が当たってたらと思うとゾッとする。彼氏に事務メインだと嘘をついてる手前、出来れば大きな怪我は避けたいのが本音。

『それは…そうかもしれない』
「まぁお陰で俺は楽出来たからいいけどね」

この男は本当にいけしゃあしゃあとこの野郎。人には得手不得手があるから必然的に撃ち合いが得意なわたしにその役割が回ってきただけとは言え、もう少し労ってくれても良くない?じっとりとした目で助手席にいる青いマスクを睨んだら分かりましたとでも言いたげに両手を上げて車を降りていった。



「どうぞ、事件早期解決とても助かりましたお疲れ様です」
『…らだおに敬語使われるとなんでこんなにイラッとするんだろ』
「おい聞こえてるからな」
『聞こえるように言ったからね』
「ほんっとうにいい性格してんね」
『いやこちらのセリフですけど』

なんて売り言葉に買い言葉ならぬ煽り言葉に煽り言葉で返す軽口を叩き合って、同時に吹き出した。なんのケンカだこれ、しょうもない、でもどこかほっとするのが悔しい。わざわざ車を降りて買ってきてくれたのがわたしの好きなミルク多めのコーヒーだったから余計に悔しい。

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作者名:tori | 作成日時:2024年10月7日 21時

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