・ ページ19
「ただまぁ、一つだけ忠告」
「え、なに？」
「Aって多方面からモテるから気を付けて」
「あー…」
「あ ほら、挑戦者来たよ」
ドリーが指をさした先、さっきまで騒いでた後輩ズはいなくなってて代わりにウェスカーがAの頬に手を添えていた。いやうちの子お触り禁止なんですけど？ねぇ？ちょっとウェスカーさん？しかも絶妙に何話してるか聞こえないし。まぁ多分、あの怪我を心配してるとかそんなんだろ。ウェッさんはギャングのボスとしてAを勧誘することはあるけど、恋愛面では俺の背中を押してくれるから多分大丈夫。
「あらら」
「は？」
二人で傍観を決め込んでたら、ウェッさんが少しだけ腰を折ってAの耳元に顔を近付けたのが見えて思わずガラの悪い声が出た。しかもその後すぐにAの顔が赤く染ったのがこの距離でもハッキリ見える。
「行かなくていいの？」
「…今の俺に束縛する権利無いんだけどどうしろと？」
「同僚として助けに入るのはアリじゃない？」
「なるほど、行ってきます」
「行ってらっしゃーい」
さすがミンドリー、こういう時に頼りになるのはやっぱりドリーなんだよお前しか勝たん。すぐに腰を上げて二人に近付けば、ウェッさんがニヤニヤと嫌な笑みで迎えてくれた。ワァ嫌な予感。
「ほらA、らだおくん来たぞ」
『っ来なくていい！』
「え…」
『あ、ちが、らだおが嫌とかじゃなくて！』
「今更そんなことで照れるなんてかわいいねぇ」
『ちょっとマジでウェッさんもう帰って！ほんっとにヤダ！』
「えぇ…？なにごと？」
いきなりの拒絶にちょっと心折れかけたけど、俺が嫌とか嫌いとかそういう意味じゃないらしくてそこはホッとした。話の流れは全然分かんないけど多分ウェッさんにからかわれて嫌がってるんだろうなってことは何となく理解できる。こんな顔真っ赤にして怒るってことは俺のことでも突っ込まれたんかね。
「はいはい、帰ります帰ります」
『次はセクハラ罪で牢屋ぶち込むから…！』
「え、ウェッさんマジでなんて言ったの？」
「試しにらだおに抱か『ちょっと！マジで撃つよ！』ふはっ、ほんっとにかわいいねぇ」
あ、やっぱり俺絡みの話だった。ウェッさんの言葉はサブマを取り出したAに遮られて最後まで聞き取れなかったけど、顔を真っ赤にしながら怒るAは確かにかわいい。
『はやく帰れ！』
「はいはい、邪魔者は退散しますよ」
『ほんっとに黙ってほしい』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 528人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：tori | 作成日時：2024年10月7日 21時
