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非凡な日常【東雲朱司】 ページ6

愛すべき両親が発する甘い朝の挨拶を聴き
愛情に包まれた中、嫌々ながらも重い体を布団から起こす…

否。愛用しているスマートフォンの目覚まし音が狭い部屋に騒々しく響き渡り、私の一日は始まる。

「朝…いや、昼か…」
現在時刻は12時半。
通常ならば学生は学校で昼食をとっている時刻だろう。

しっかりと寝ぐせの付いた邪魔な長髪を掻き分け、ゆっくりと洗面所に向かう。
手洗いの隣には、一度も本来の役目を果たしたことのない真っ新な制服が静かに掛けられている。
その罪なきコスチュームを横目で睨みつけながら、腫れた顔をざぶざぶと洗った。

「お昼ごはん、今日は要らないか…」
自分にそっと言い訳をすると、
私はもう一度暖かな布団の中に潜り込んで二度寝を決め込んだ。



「おーい。朱司っちーー!」
寝ぼけた頭の朱司の耳には、微かに
部屋の扉を叩いて自分の名前を呼び続ける一人の少女の声が届いた。

「ん………?」

そっと戸を開けるとそこには、
銀色の髪をした小柄な少女が立っている。

「鷹央ちゃん…ごめん。すっかり寝てた。」

「だろうと思ったよ。まったくー!」

彼女は聖龍鷹央。朱司と同じ学校に通っている、片時雨館の住人だ。
現在、とある事情で高校に通っていない朱司に毎日のように課題や手紙を届けてくれている。

「はい、今日も渡すね。あ、あとこれ。
 給食のプリンだけど、よかったら食べて!」

「プリン…ありがとう鷹央ちゃん。」

「えへへ 朱司っち、食欲とか大丈夫?また何かあったら言ってよ!!」

「うん。ありがとう。」

「そんじゃあ今日はこれで。まったねー!」

「あっ、待って鷹央ちゃん…!」

今にもどこかに走っていきそうな勢いの鷹尾に、ちゃぶ台の上に置いてあった総菜パックを握らせた。

「昨日買ったんだけど…まだ食べれると思うから…」

「!!唐揚げ!わかってるじゃん朱司っち〜!ありがとう!
 んじゃさいなら!」

どこまでも元気な同期の背中を見つめ、朱司はそっと静かに笑みを零した。

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雨読(プロフ) - 更新しました!長い間すみません…!次の方どうぞ〜 (2020年7月19日 20時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨読(プロフ) - 更新します。 (2020年7月19日 18時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
サワー(プロフ) - 更新しました、猫羽ナナシをよろしくおねがいします!! (2020年7月13日 18時) (レス) id: 59631e9c92 (このIDを非表示/違反報告)
サワー(プロフ) - 更新します!!! (2020年7月13日 18時) (レス) id: 59631e9c92 (このIDを非表示/違反報告)
あお@期末終わるまで低浮上(プロフ) - 更新しました、何か変な部分があれば指摘してください…! (2020年7月12日 20時) (レス) id: 91f861d85b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨読 x他7人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hurawaxa/  
作成日時:2020年7月5日 12時

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