君に溺れたい Noel.K ページ17
『遅いなぁ……。』
いつもならちゃんと門限の9時に帰ってくる如恵留くんが今日はなかなか帰ってこない。
連絡もしたけど、返事もかえってこない。
飲み会に行く、とだけ聞いてはいるんだけど。
もしかしたら……、なんて考え始めたら、嫌なことばっかり考えちゃうから、とりあえず気を紛らわすために動くしかない。
用意していた夜ご飯にラップをかけて、お風呂の電源をつけて、……なんてしてたらピンポーン、とチャイムの音がした。
こんな夜遅く？
家には如恵留くんいないし、もし変な人来たらどうしよう。
そう思っていると、またピンポーン、となる。
『えぇ……、怖いんだけど…。』
恐る恐る玄関のモニターを除くと、なんとなく見た事のある人がスーツ姿で立っていた。
そして隣には肩を支えられた如恵留くんがニコニコして立っていた。
『あの、どちら様でしょうか？』
「川島くんと同じ職場の阿部です。
川島くん、珍しく潰れちゃって。
足元もフラフラしてるので、家まで送ることになってきちゃったんですけど、」
「あー！勝手に話さないでくださいー」
阿部さんの話を遮るように如恵留くんが話し出すから、ちょっと驚き。
そんなこと言うタイプじゃないのに。
『あの、すぐ行きます！』
モニターを切って、すぐに外に出れるように簡単な準備をした。
一応、一瞬でも外に出て人に会うと思って、
少しだけマシな服に着替えて、顔はもう仕方ないからマスクで凌ぐことにした。
ドアを開けると、阿部さんに会釈され、こちらも苦笑いで『こんばんは。』という。
え、阿部さんってめっちゃ背高い……。
てかこんなイケメンさんなのね…。
「Aじゃん〜。」
ほとんど聞いたことの無い甘く、甘い声で私を呼ぶから、またびっくり。
「あの、中まで運びましょうか？」
そう聞いてくれたけど、知らない人をあげるほど部屋は片付いてないし、勝手に人を家にあげちゃダメと言われてるから、お断りをした。
とりあえずふわふわしてる如恵留くんをもらって、玄関まで運ぶ。
如恵留くんはあまり話す気力もないようで、そのままにして外に出た。
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作者名：菜緒 | 作成日時：2020年11月22日 15時
