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Kaito side
いつも8時に終わる仕事をだいぶ早く切り上げ、駅に着く。
駅には、スーツ姿の人や女子大生、カップルなどがたくさんいる。
クリスマスは日本の行事では無いけど、こうやって見ると、いい文化だな、なんて。
いつも行列が出来ているスイーツ屋さんでは、更に行列が出来ていた。
何かと思うと、手には白いクリスマスケーキ。
一応のため、Aに連絡を入れると、
速攻で、『ケーキもチキンも買ってあるよー!』と返された。
Aは少し子供っぽいところがあって、いつも俺よりもクリスマスを楽しみにしている。
だから、そういう細かいとこは全部Aに頼んでしまっている。
俺が毎年用意するのは、プレゼント。
あ、あと、気持ちね。
今年も喜んでくれるか分からないけど、きっと喜んでくれる。はず。
・
家に着いて鍵を開けると、パタパタと足音を立てて、Aが迎えてくれた。
『おかえり〜。
って、え!?』
「メリ〜クリスマス!」
そりゃあ、驚くだろう。
彼氏が、スーツにサンタの帽子を被ってるんだから。
『ふふ、メリ〜クリスマス。』
こんな風に優しく乗ってくれるAは本当に可愛い。
ニコッと笑った時に出来るえくぼをツンツンとすると、嬉しかったのか、俺にしか見せない笑顔で笑った。
「はい、サンタからのプレゼント。」
手に持っていた紙袋をAに渡す。
『えー?
……これ、シャンパンじゃん!
なんで買ってないの分かったの?』
「毎年シャンパン買い忘れてんだろ。
だから、今年は後で買いに行かなくてもいいように。」
『ありがとう、海斗はよく見てるねぇ。』
そりゃ当たり前だろ、彼女なんだから。
って言おうとしたけど、素直に体は動かなくて、口を噤んでしまった。
『ん?どうしたの?』
「何でもない。
ほら、Aの用意してくれた夜ご飯、食べよ!」
『うん!』
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作者名:菜緒 | 作成日時:2020年11月22日 15時