にわか、トリップしてから2年経ったってよ【文スト】

・人生万事塞翁が虎＿3匹 ページ4

「んぐむぐんぐんむむ」

『食べ物は逃げないからゆっくり食べましょー』

「んぐ！」


あ、如何も。挨拶が遅れてしまいました。Aです

只今。土手に座りながら、隣で朝食になる筈のパンを食べている少年を眺めています。
いやぁさっきは本当に吃驚しましたよ…。

急に少年が襲い掛かって来たと思ったら、足がもつれて顔面から倒れちゃって…


そうですよ。簡単に言えば、土とキッスをしたって事です。


その後、なんとか少年を起こして土手に座らせて…お腹を空かせてたっぽいので、パンを与えました



『パン買ったんですけど、食べます？』って買い物袋から取り出した時には、もう手元にパンがありませんでした。

最初〈相手が持っている物を消す異能力〉かと思いましたが、ただ単に光の速さで少年がパンを取っただけでした。



「ぷはぁ！いやぁ助かりました…」


どうやら食べ終わったっぽいですね


『いえいえ！まぁ、目の前で空腹の人が倒れたら誰でも助けますよ』


ちょっとさっきの事を掘り返してみたら「あはは」と、申し訳無さそうに笑いを浮かべた。
さっき「お金を出せ下さい」って言った人とは思えないな。

な〜んて考えていると


「あの！」

『ん？』

「先程は大変失礼致しましたぁぁぁぁ！！」

『………ん？？？』


少年が、急に土下座をし始めました。わー周りからの視線が痛いなー


『え、…いや。ちょ、頭あげy(「相手の話も聞かずにｯ！急に襲い掛かってしまい済みませんでしたぁぁ！」…うん、取り敢えず落ち着いて。頭上げよ？周りの目が痛いから…」


宥めれば「あ、それもそうですね…すみません…」と漸く頭を上げてくれました。


『まぁﾀﾋにそうだから、人を襲ってお金とか食べ物を取るのも無理もないですよねー…俺もそう云う時期ありましたし。』


「え、貴方もですか？」と、目を見開いて驚いている様です。


『それはさて置いて。此処で出逢えたのも何かの縁！お名前をお伺いしても？
俺の名前は小鳥遊Aって云います。宜しくお願いします』

「あ、えっと。僕の名前は〈中島敦〉って云います！宜しくお願いします！Aさん！」

『……ん？』

「？…如何かされましたか？」

『え？いや、何でもないですよ！』



皆さん、俺。耳鼻科に行った方が良いでしょうか。なんか〈中島敦〉って聞こえた様な…







＿＿あ、この少年…いや、敦君。よくよく見たら俺が買った漫画の表紙に居た人じゃん。

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