ものがたり〜病系〜

8ー1…しょくじ ページ39

「今日さ、ランチ行かない？」

昼前、昨日遅くまで仕事だった俺が遅めの起床でリビングに行くと、大ちゃんが嬉しそうに聞いてきた。

「光も休みだし、行こうよ」

「ん、いいね」

まだ半分寝ている頭でそう言うと、ぼーっとしている俺に満面の笑みを浮かべ、
「決まりね。光に言ってくるー」とリビングから出ていった。

元気だなぁ。

ふぁ〜と欠伸を一つしながら、そんな年寄りくさいことを思ってしまう。

俺もオジサンだな。大ちゃんとそんなに歳かわらないのに(笑)

さてと、準備するか。


それから、ぱぱっと身支度を終え、３人一緒に車に乗った。

運転は光。

前から行きたかったイタリアンレストランがあるんだって。

職場の先輩に勧められてたらしい。

「着いたぞー。確か、ここの一番上って言ってたっけな」

車に揺られ20分弱。光に連れてこられたのは少しレトロな外観の5階立てビル。

なんか隠れ家みたいなとこだな。

そんな印象を持ちながら、店内へと入る｡

中に入ると、古い外観からは想像もつかない、とても綺麗な店内だった。アンティークっぽいインテリアが外観のレトロな雰囲気と合っている｡

優しそうな笑顔の店員さんに窓際の席に案内され、席に座ると早速メニューを開く大ちゃん。

「すげー、メニューいっぱい」

興奮ぎみの大ちゃんが見ているメニュー表には､ずらりと料理名がならんであった。

確かに、これだけあると選ぶの楽しいかも。

「すごいでしょ。ランチだからサラダとパスタ、ドリンク、デザートがセットになってるんだよ。しかもサラダは日替わりで、それ以外は自由に選べるんだって」

先輩から聞かされていたのか、まるで来たことがあるかのように饒舌に話す光。

「選び放題じゃん。どれにしよっかな〜」

「迷うな、こんだけあると」

もう決まったという光に若干急かされつつも、俺と大ちゃんも迷いに迷ってようやく頼んだ。

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