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「おーい、聞こえる〜？」
光がガラス窓の向こうから声を出してみせた。
「ね？聞こえるでしょ」
別にこのレントゲン室が特殊ってわけではなく、ごく一般的なものだ。
でも、一つずつ落ち着いて説明していけば、大ちゃんも納得して、少しは恐怖心も減ると思う。
「ここ、立ってみよっか」
実際の位置に立ってみて見えるってことを証明しようと、俺に引っ付きっぱなしの大ちゃんをそっと離して立たせた。
「んっ…」
「大丈夫。まだここにいるよ」
不安気な顔の大ちゃんに声を掛けながら、少しずつ離れていく。
「声もねそこにいても聞こえるよ〜。見てて」
ドアを開けて、光のいる方の部屋へ入る。
その間も光が話し続けてくれた。
「そうそう。どう？聞こえるでしょ〜」
さすがに部屋に入ると孤独感を感じてしまったのか、涙が目に浮かぶ大ちゃん。
「待って！…大ちゃ〜ん、そのままね。」
このままでは撮影出来なくなると思い、咄嗟に大きめの声で制止した。
びっくりしたのか一瞬動きの止まった大ちゃんに優しく声を掛ける。
「すぐ終わるからね。大きく息すってみよっか」
涙目になりながらも、こっちの声と姿が見えるからか、素直に指示に従ってくれる大ちゃん。
俺も光もなるべく笑顔を絶やさずに大ちゃんの方を見ながら声を掛ける。
「はい、息止めててね〜」
俺の指示に協力的だった大ちゃんのおかげて、あっという間に撮れた。
「はーい、いいよ〜。終わりね」
すぐに、俺と光は大ちゃんの元へと向かう。
「よく頑張ったね〜」
「すごかったよ、大ちゃん」
俺と光は口々に大ちゃんを褒めた。
大ちゃんも安心したのか、ポロポロと涙をこぼしている。
そんな大ちゃんを抱き上げて背中をポンポンと叩きながら、診察室まで戻っていった。
診察室に行く途中、ふと気がついた。
「あれ。光〜、もしかして大ちゃん寝てる？」
「んー、まあ、寝かけてるね笑」
「マジ？あと心電図だけなんだけど」
寝る前にしたかったなぁ…なんて思っていると
「急ごう。まだ完全には寝てないから」
光がそう言ったので、早歩きで診察室に戻った。
ほぼ寝かけている大ちゃんを、そっと診察室のベッドに下ろすと、薄く目を開けた大ちゃん。
「お、目覚めた？」
「最後ね、心電図して終わりだからね」
まだぼーっとしている大ちゃんに話している間に、光が心電図の機械を持ってきて準備してくれた。
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TT(プロフ) - ♪尾曲がりニャンコ♪さん» ご意見ありがとうございます。応援、励みになります♪ (2017年3月4日 10時) (
レス) id: a5409a49a2 (このIDを非表示/違反報告)
♪尾曲がりニャンコ♪(プロフ) - 作者さんが分かりやすく書いてくれてるので、今のままで大丈夫だと思います！更新ファイトです！ (2017年3月3日 11時) (レス) id: 79d67a7ed9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：TT | 作成日時：2017年2月25日 0時
