4ー4 ページ17
何て言おうか迷っていると、いつの間にか聴診器を構えた大ちゃんに服を捲られた。
聴診される感覚が大嫌いな俺は、手で阻止しようと光と握っていた手を離そうとした。
でも、光が離してくれない。
「ん〜、ひかる…はなして！」
「大ちゃんにもしもし、してもらおうな〜」
光に訴えるも離す気はないみたいだ。
その間にも大ちゃんがペタペタと聴診器を当ててきた。
「ん〜っ…やだっ…」
どうにか身体を動かそうと腰を捻らしていると、光が握ったままの手で腰を抑えてきた。
「ごめんなぁ、ちょっと我慢ね」
「やだぁ…うぅっ…っ…っ…んっ…」
どうしようもなく嫌なことばっかりで涙が止まらない。
「いやだね〜。もう終わるからね」
光が優しい言葉で励ましてくれるけど、嫌なものはやっぱり嫌だ。
「はい、終わりね〜。頑張った、頑張った」
大ちゃんの言葉に全身に入っていた力が抜ける。
「大ちゃん、後ろは聴かないの？」
「後ろはまあ、いいや。疲れが身体に出ただけみたいだし」
「そっか。じゃあ、しっかり寝ないとだな」
光と大ちゃんが会話しているのを目を閉じて聞いていると、だんだん意識が遠のいていった。
朝、窓から入ってきた太陽光のまぶしさに目が覚める。
身体を起こしてみると、昨日とは打って変わって身体が軽い。
ふと、周りを見ると、布団から半分はみ出して寝ている大ちゃんと、タオルを握ったまま寝ている光。
よく見ると、濡れたタオルや空になった薬の包装シートが散らかっている。
そっか…夜中も看病してくれたのか…
迷惑かけちゃったなぁ…
旅行で体調崩しちゃうなんて…
といろんな思いが溢れてきて反省していると、光が起きてきた。
「おはよ」
「おはよー。復活したみたいだな」
起きて早々、言う光に昨日のことを謝る。
「気にするな、元気になったんだし！」
と笑って言う光に“ありがと”と返した。
軽く身支度をしていると、大ちゃんも起きてきたみたいだ。
おはよと言う俺に、「宏太〜！良くなったんだね」と言って喜んでくれた。
大ちゃんにも昨日のことを謝ると、「ほんと、心配したんだからねー」と本気で心配してくれて…
こんなに優しい大ちゃんと光をもっと好きになった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
TT(プロフ) - ♪尾曲がりニャンコ♪さん» ご意見ありがとうございます。応援、励みになります♪ (2017年3月4日 10時) (
レス) id: a5409a49a2 (このIDを非表示/違反報告)
♪尾曲がりニャンコ♪(プロフ) - 作者さんが分かりやすく書いてくれてるので、今のままで大丈夫だと思います！更新ファイトです！ (2017年3月3日 11時) (レス) id: 79d67a7ed9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：TT | 作成日時：2017年2月25日 0時
