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｢……それは意図してか、それとも｣
｢……意図してでは無い、けど｣
記憶が無いのは本当だ。自分の意思でスパイ行為などをしている訳では無い。Aは噛み締めた唇を一度離し、何かを発そうとする。だが、それは言葉にならず、息だけが漏れた。相変わらず俯いたAの表情は見えない。遊作は意を決して口を開く。
｢なら、どうもしない｣
｢……え？｣
｢過去を思い出せない俺たちにとって、過去のことは何もしようがないからな。今、ハノイ側と手を組んでないなら現状はそれでいい｣
遊作はすっぱりと言い切る。まるでそんなことで悩んでいたのか、とでも言いた気に。Aは動揺を隠せず、下を向いていた顔を上に向けて混乱気味にえっ、え？と遊作と目を合わせた。そんなAにお構い無しに遊作は言葉を続ける。
｢……例え、過去にAとハノイの騎士との交流があったとして。今まで俺と一緒に居たAが嘘を付いて行動していたとは思わない｣
｢ゆう、さく｣
｢実際、俺と同じ待遇を受けていた事には変わらない。なら、Aはこちら側の人間だ｣
Aは目を大きく見開き、遊作を見つめる。久々にはっきりと見たその姿。凛々しい表情、パロットグリーンの瞳が彼女を捉える。Aはまるで数日太陽を浴びていなかった草木のような気分になった。眩しい、指し詰め彼は自分の太陽、養分だと。自分には彼がいないと生きていけない。Aはボヤけて揺れる視界越しに彼を見つめた。
｢わたしのこと、すてない？｣
｢捨てる意味がわからない｣
｢……わたし、遊作のとなりにいていいの｣
｢構わない、…側に居てくれA｣
初めて…、初めて彼の口から隣にいることを許された。Aは嬉しさで止まらない涙を必死に拭う。ただ、ただその言葉が嬉しかった。救われた気持ちにさえなった。側に居させてください。鼻声で伝わったかわからない言葉と同時に彼に抱きしめられる。例え、過去に何があろうとも、今まで自分たちが紡いできたものは嘘じゃない。それがAの心の重みを吸い取った。ああ、まるで彼の言葉は魔法だ。わたしの心を見透かし、一番欲しい言葉をくれる。
今まで考えてきたことが馬鹿みたいに必要の無いものだと思い知らされ、Aは薄く微笑む。過去を知ったとしても、彼に全てを話そう。例え昔に何があろうとも、今の自分はすべてあなたのものだと。Aは遊作の肩に思いを埋めた。
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遊真 - これから主人公がどうなっていくのかが凄く気になります！これからも頑張ってください！ (2019年8月14日 16時) (
レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
リナ - しゅりんぷさんの作品、早く読みたいです！ (2019年8月6日 23時) (レス) id: cfdd277789 (このIDを非表示/違反報告)
篝月(プロフ) - 初めから読んだので、続きが凄く気になります！ (2019年5月24日 23時) (レス) id: 7982b0814b (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - 白哉さん» コメントありがとうございます。ソウルバーナーいいですよね。いつか二人も出せるようにしたいなとは思っております。それまでどうかこの小説とお付き合い願えたら嬉しいです。 (2019年4月1日 1時) (レス) id: a80e55b6ef (このIDを非表示/違反報告)
白哉 - できたら穂村尊とフレイム(ソウルバーナー)を出してほしいです。 (2019年1月20日 17時) (レス) id: 8418d83dca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅりんぷ | 作成日時：2017年12月13日 0時
