【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ２【藤木遊作】

天使様の御帰還 ページ47

｢あ、遊作おかえり｣

｢おう、おかえり｣

｢何かわかったか？｣

太陽が傾き、辺りがオレンジ色からゆっくりと黒に変わる時間。学校から帰ってきた遊作を二人はキッチンカーで迎える。Aはあれから数時間、仮眠を取らせてもらい、起きて軽く身支度を済ませたあと。再び草薙と作業に取り掛かった。相変わらず何か見つけることは出来ず、停滞中。

｢これがね〜、ちょっと難しいかなって感じ｣

｢まったくかすりもしなくて…な｣

『あら？流石の草薙ちゃんも生徒会長様も今回ばかりはお手上げかしらん？』

｢これからだよバーカ｣

｢んふふ、ばーかばーか｣


ぴん、とAiのおでこに軽くデコピンをかました草薙が小さく笑う。からかわれたり、煽られたりしてもすぐに怒ったりせず、軽く受け流すあたり大人な草薙。それにAがふふ、と微笑むとAiが『バカは禁止用語です！』と、ぱたぱたと短い腕を上下に振り回した。Aiちゃんのこういうところが憎めない可愛さというか、なんというか。

｢草薙さんは寝てくれ、あとは俺がやる｣

｢あぁ頼む。だがその前に何か作るよ、腹減ったろ？｣

『何かってホットドッグとチリドッグしかないじゃん！』

ばっと大きく手を広げるAiに草薙は軽く微笑んで、チーズドッグだってポテトだってあると主張した。Aは既に暗記している店のメニューを頭の中に思い浮かべて考える。今の気分はチーズドッグ、だがポテトも食べたい。ホットドッグでもいいし…。この際チリドッグでも何でも良くなってきた。食べ物を思い浮かべるたびに、初めから決めていた決意が揺らいでしまう。こういう誘惑には滅法弱い。遊作はいつものホットドッグにするらしく、既に草薙に注文を済ませている。Aはうーんと頭を唸らせた。

｢ホットドッグ…、いや、チリドッグに…チーズも…うぅ……｣

『あみだくじとかにしたら？』

｢それいいね、ちょっと待って。紙…｣

『じゃーん！俺が今ぱぱっとプログラミングしたんだけど、ほい。三本線、どれにする？』

｢じゃあ…真ん中｣

『真ん中オープン！っと、ホットドッグだな！』

｢よし、じゃあ翔一さん！ホットドッグで！｣

了解、と苦笑する草薙にAも椅子から立ち上がり、それを手伝う。先に作業に取り掛かろうとする遊作がLINK VRAINSの中継をかけた。

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