【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ２【藤木遊作】

不向きなヒール ページ32

『助けに行かなくていいのか？負けたらPlay makarの正体をバラされちまうんだぜ』

GO鬼塚とドクターゲノムのデュエル開始直前、ステージに熱気が増す。その後ろのキッチンカー前で3人がこっそりと試合を見守る中、Aiが声を潜めて言った。

｢もしかして病院で会った時に気付かれたのか？｣

｢そんなこと無い…とは思うんだけど…。ね、遊作？｣

｢あぁ。ありえない｣

心配そうに発言する二人に、遊作は真顔で返事をする。ありえないとは思うけど、二人して本名を言ってしまった事実も否めない。もしバレてたらどうするかな…人間 記憶 消し方と脳内のグーグル先生に検索をかけるも一向にいい方法が思いつかない、バールで殴る以外。Aはごちゃごちゃと脳みそで考えるのをやめ、取り敢えずと電子パネルに目をくれる。一ターン目から場が変わる、ということは無く、煽り合いで熱が増していく中、先に動きを示したのはGO鬼塚だった。

『装着魔法、剛鬼ザ・ダークマスクをサンダー・オーガに装備！』

マジックの効果説明、モンスターの仮面の装着。GO鬼塚がヒールレスラーへと成り下がった、その事実にAは小さく感心した。GO鬼塚のエンタメデュエルは私自身、ファンだった面もあり推していたし単純に好きだった。それが、反転するかのような決闘に…。顎に手を当てて考えるAに遊作が首を傾げる。それに最初に言葉を口にしたのはAiだった。ダサくない？その発言に遊作がファイトスタイルを変えたんだと言葉を返した。

｢あぁ。ヒールターンとはプロレスの専門用語だ｣

｢ベビーフェイスからヒール、つまり悪役に変わったってことだよ！｣

『へ〜、草薙さんならともかくAちゃん詳しくない？何で？』

｢スポーツは全般的に見るの大好きだから！あと、実は女性ヒールの試合見に行ったことがあって…。ね？草薙さん｣

｢は？それは聞いていない｣

『なに？遊作ちゃん仲間外れにされたの？』

｢優待券を貰ったから一緒にどうだ？って俺が誘った時に断ったじゃないか。だから、Aと二人で行ってきたんだ｣

｢ちゃんとお土産持って帰ったじゃん。ヒールに踏んでもらったサイン色紙！｣

『うっわ、何それゴミ？』

｢Aiちゃん！！ヒールの方にサイン色紙踏んでもらうのは御褒美なんだよ！！普通にサインしてもらうのと同等の価値ですー！｣

『無駄知識！』

無駄知識とは何だ！と怒るAを草薙が宥める。それを尻目に遊作は少し不貞腐れながら電子板に目をやった。

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